格安SIMへ替えると月いくら下がるのか。答えは、広告に出ている月額と現在の請求総額を引くだけでは分かりません。スマホの請求には、回線料金のほかに端末の分割代、通話料、保証や動画配信などのオプションが混ざっているからです。家族割や光回線とのセット割が外れ、本人の回線は安くなっても世帯全体ではほとんど変わらないこともあります。
この記事では特定の一社を推すのではなく、自分の明細から削減額を出し、安さと引き換えに失うものを確認する方法に絞ります。サービスごとの料金比較は格安SIM6社比較、申し込みから開通までの操作は格安SIMへ乗り換える手順で確認できます。
先に結論|下がる額は「回線どうし」で比べる
乗り換えによる毎月の削減見込みは、次の式で計算します。
毎月の削減見込み = 現在の回線関連費 − 乗り換え後の回線関連費 − 世帯で増える費用
現在と乗り換え後の「回線関連費」には、基本料金、データ追加料、通話料または通話定額、残したいオプションを入れます。端末の分割代は、乗り換えても支払いが残るなら両方から外します。端末代まで含む現在の請求総額と、SIMだけの新料金を比べると、下がる額を大きく見積もってしまいます。
たとえば、現在の回線関連費を月5,500円と仮定します。直近3カ月の利用が毎月5GB以下で、短い電話をよくかける人が、IIJmioの音声SIM5ギガ950円と通話定額5分+500円を選ぶ例なら、乗り換え後は月1,450円です。単純な差額は月4,050円、12カ月では48,600円になります。IIJmioの通常料金は公式料金表で確認できます。なお、5分を超えた通話や0570などの対象外通話には別料金がかかり、ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料もSIMごとに加算されます。「月1,450円ですべての電話が無料」という意味ではありません。
一方、月20GBを超えて使い、5分以内の国内通話が多い人がahamoを選ぶ例では、30GBと1回5分以内の国内通話を含む月2,970円が比較の土台です。現在の回線関連費が月5,500円なら、単純な差額は月2,530円、12カ月では30,360円です。5分超過後は22円/30秒で、0570など一部の発信先は無料通話の対象外です。容量や通話の条件が違うため、950円のプランとの差だけを見て「損」とは判断できません。
ここで示した現在料金の5,500円は計算方法を説明するための仮定で、平均額ではありません。自分の削減額は、必ず自分の明細と利用量で計算してください。また、キャンペーン価格ではなく通常料金を使うと、割引終了後も続く削減額を判断できます。
広告の月額ではなく、この比較表を埋める
「今は月8,000円、新プランは月1,000円だから7,000円下がる」という計算は危険です。今の8,000円に端末代が含まれ、新プランの1,000円に通話料や失う割引が含まれていなければ、比較する範囲がそろっていません。次の表を、請求明細を見ながら1行ずつ埋めてください。
| 比較する項目 | 現在 | 乗り換え後 | 計算時の扱い |
|---|---|---|---|
| 基本料金(割引後) | ___円 | ___円 | 両方に入れる |
| データ追加料(月平均) | ___円 | ___円 | 直近3カ月の合計÷3 |
| 通話料・通話定額 | ___円 | ___円 | 無料対象外の番号も確認 |
| 残すオプション | ___円 | ___円 | 保証・留守番電話など必要分だけ |
| 端末の分割代 | ___円 | ___円 | 乗り換え後も同額なら両方から外す |
| 家族・光回線で増える額 | 0円 | ___円 | 乗り換え後だけに足す |
| 通常月の比較額 | ___円 | ___円 | 上の対象項目を合計 |
データ追加料と従量通話料は、最も安かった月だけでなく直近3カ月の合計を3で割ります。ただし、旅行などで年に数回だけ容量を追加するなら、その追加費用は「毎月発生」とせず、年間費用へ発生回数分だけ足します。固定料金と不定期費用を混ぜないことが、過大な節約見込みを防ぐポイントです。
具体例|月額差ではなく、世帯の12カ月総額で判定する
仮に現在の基本料金・通話・必要なオプションの合計が月5,890円、端末の分割代が月2,400円だとします。端末代は乗り換えても残るため、比較から外します。乗り換え後の回線関連費が月1,450円でも、本人が抜けることで残る家族回線の割引が月1,100円減るなら、世帯全体の削減は次の通りです。
| 計算 | 金額 |
|---|---|
| 現在の回線関連費 | 5,890円/月 |
| 乗り換え後の回線関連費 | 1,450円/月 |
| 家族側で増える費用 | 1,100円/月 |
| 世帯全体の削減見込み | 3,340円/月 |
| 12カ月の削減見込み | 40,080円 |
さらに、初期費用や新しいケース代など、乗り換えのためだけに3,300円かかると仮定すると、初年度の削減見込みは40,080円−3,300円=36,780円です。この例の金額は計算練習用であり、家族割や初期費用の相場を示すものではありません。実際には候補会社の申込画面へ進む前に、公式料金表から通常料金、SIM発行費用、必要なオプションを転記します。
ここまで計算したら、初期費用を回収する月数=乗り換え時だけかかる費用÷毎月の削減見込みも出します。月の削減が小さく、端末買い替えなどの初期負担が大きい場合は、回収前に次の機種変更や料金改定を迎える可能性があります。単に「月額が安い」ではなく、「何カ月使えば家計が実際にプラスになるか」までが判断材料です。
まず請求を四つに分ける
携帯電話会社の会員ページか請求明細を開き、直近3カ月分を次の四つへ分けます。
1. 回線の基本料金
データ容量を含む料金プラン本体です。家族割や光回線とのセット割がある場合は、割引後の実際の支払額を書きます。広告の定価ではなく、自分の明細に載っている金額が出発点です。
2. 通話料と必要なオプション
通話料、かけ放題、留守番電話、端末保証などを分けます。使っていない動画やセキュリティサービスが一緒に請求されているなら、乗り換えとは別に解約できるか確認します。格安SIMへ替えなくても、不要なオプションを外すだけで下がる部分です。
3. 端末の分割代
回線契約を替えても端末代の残りがなくなるとは限りません。したがって、「回線が安くなる額」には含めず、家計では別の支払いとして残します。端末返却を条件に負担が変わる購入制度を使っている場合は、返却時期、故障や傷の条件、回線解約後の扱いを購入元の公式案内で確認してください。
4. 家族や固定回線で増える額
自分が抜けることで家族の回線の割引額が変わる、自宅の光回線とのセット割が消える、といった影響を確認します。自分の回線が月4,000円下がっても、残る家族2回線がそれぞれ月1,000円上がるなら、世帯全体の削減は月2,000円です。比較の最後は必ず世帯合計に戻します。
料金プランは直近3カ月の使い方から選ぶ
「普段はWi-Fiだから3GBで足りるはず」と記憶だけで決めず、会員ページで直近3カ月のデータ使用量を確認します。旅行、帰省、入院などで多く使った月があるなら、その理由と頻度も書きます。
毎月4〜5GB使う人が3GBプランを選び、追加データを何度も買えば、表示された基本料金より高くなります。反対に、毎月3GB以下なのに30GBを選べば、余る容量へ支払い続けます。最も多い月へ無条件に合わせるのではなく、普段の量で契約し、年に数回だけ追加購入する方が安いかを12カ月で比べてください。
通話も同じです。標準の電話を何分使ったか、LINEなどのデータ通信による通話が中心かを分けます。国民生活センターは、格安スマホで専用アプリなど所定の条件を満たさず発信し、想定外の通話料が発生した相談事例を案内しています。現在のサービスでは条件が異なるため、「かけ放題」という名前だけで判断せず、対象となる発信方法と対象外番号を候補各社の公式ページで確認します。
落とし穴は料金以外に六つある
昼休みや混雑時の使い心地
通信速度は、回線、場所、時間、端末、混雑状況で変わります。最高速度の数字だけでは、自宅、職場、通勤経路での使い心地は決まりません。地図、決済、仕事の連絡など止まると困る用途を挙げ、候補の通信エリアと利用者向けの速度制御条件を公式サイトで確認します。
今の端末を使えるとは限らない
SIMカードを差し替えれば、すべての端末がそのまま動くわけではありません。候補の「動作確認済み端末」一覧で、商品名だけでなく型番まで照合します。SIMロックの有無、対応するSIMの種類、eSIM対応、音声通話やテザリングの確認結果も見ます。国民生活センターも、端末が利用できるか、サポート内容や手続きを契約前に確認するよう注意を促しています。
店舗サポートが減ることがある
申し込み、初期設定、故障時の相談がオンライン中心の会社もあります。家族に設定を任せる予定なら、その人が毎回対応できるとは限りません。チャット、電話、店舗の有無、受付時間、故障中の代替機の扱いを確認し、自分で困らない範囲を決めます。安い料金には、窓口の違いが含まれている場合があります。
キャリアメールと登録先が残る
銀行、学校、仕事、通販などに携帯電話会社のメールアドレスを登録している場合は、乗り換え前に変更先を一覧にします。メール持ち運びを使うなら、現在の会社の対象条件、申込期限、料金を確認します。新しい会社がメールを提供していても、今のアドレスを自動で引き継げるという意味ではありません。
端末保証と留守番電話が同じとは限らない
現在無料または割引対象の機能が、乗り換え先では有料、非対応、別アプリという場合があります。留守番電話、迷惑電話対策、海外利用、データ繰り越し、家族間通話、フィルタリングなど、毎月使っている機能だけを表にします。使っていない機能まで「同等」にそろえる必要はありません。
初月の請求だけでは成否を判断できない
初期費用、SIM発行料、日割り、キャンペーン、旧回線の最終請求によって、最初の一、二回は通常月と金額が違うことがあります。乗り換え前に見込んだ通常月の金額と、割引が終わった後の金額を記録し、翌月と割引終了後に見直します。
10分でできる乗り換え判断チェックリスト
申し込み画面を開く前に、次の順で確認してください。一つでも「不明」があれば、契約せず公式情報を調べる項目です。
- 直近3カ月のデータ使用量と通話料を確認した
- 現在の請求から端末代と不要なオプションを分けた
- 候補の通常料金に、通話と必要なオプションを足した
- 家族割と光回線セット割が外れた後の世帯総額を確認した
- 現在の端末の型番を、候補の動作確認済み端末一覧で照合した
- 自宅、職場、通勤経路が公式の通信エリア内か確認した
- メール、留守番電話、海外利用、店頭相談のうち必要なものを確認した
- 初期費用を含め、12カ月の合計で現在より安いと計算できた
申し込み直前に止まらないための実務チェック
料金比較が終わっても、名義や端末の条件が合わなければ手続きは進みません。次の項目は候補会社によって必要書類や条件が違うため、必ずその会社の申込案内で確認します。
- 現在の回線名義と、乗り換え先で申し込む名義が一致している
- 本人確認書類の氏名・住所が、申込内容と一致している
- 利用できる支払い方法と、本人名義が必要かを確認した
- 物理SIMかeSIMかを決め、端末が選んだ方式に対応している
- 電話番号を引き継ぐ場合、両社がMNPワンストップに対応するか確認した
- SIM到着から回線切り替えまで通信できない時間の有無を確認した
- 旧回線を自分で先に解約せず、乗り換え先の案内どおりに進める
MNPワンストップは、対応する事業者間のWeb手続きならMNP予約番号なしで移転先への申し込みから進められる方式です。両社が対応していない場合や店頭手続きなどでは、従来どおり予約番号が必要な場合があります。「今は予約番号が一律不要」と思い込まず、移転元と移転先の組み合わせで確認してください。ドコモの公式案内では、ワンストップと予約番号が必要なツーストップの違い、予約番号を使う場合の有効期間を説明しています。
12カ月の差額は、次の形で出せます。
年間の削減見込み = 毎月の削減見込み × 12 − 初期費用 − 乗り換えで新たに必要な費用
数千円の差しかない場合は、設定の手間やサポートの違いを受け入れてまで替える価値があるかを考えます。反対に年間数万円の差があり、必要な通信とサポートを満たすなら、固定費の見直しとして効果が続きます。
安くならない人は、乗り換えない選択でよい
現在の料金がすでに利用量に合っている人、家族割と固定回線の割引が大きい人、店頭での支援が欠かせない人は、格安SIMへ替えても家計全体の利点が小さい場合があります。また、端末の買い替えが必要なら、回線の削減額を端末代が上回ることもあります。
その場合は、現在の会社の小容量プランへ変更する、不要なオプションだけ外す、通話定額を実績に合わせる方法を先に検討します。「格安SIMへ乗り換えること」ではなく、「必要な使い方を保ちながら通信費を下げること」が目的です。
契約後に説明と違う高額請求や電波の問題へ気づいた場合は、放置せず事業者へ早めに申し出てください。電気通信サービスには「初期契約解除制度」と「確認措置」がありますが、同じ制度ではありません。国民生活センターによると、初期契約解除制度の対象なら、原則として契約書面の受領日を初日とした8日間は事業者の合意なく回線契約を解除できます。ただし、端末契約は対象外で、利用料や事務手数料などを負担する場合があります。確認措置は、電波状況が不十分、または説明や書面交付に問題があると認められた場合に、対象サービスで端末を含めて解除できる制度です。どちらが適用されるかは契約書面に記載されるため、「8日以内なら理由を問わず端末代までゼロになる」とは考えず、書面と事業者の窓口で対象条件を確認します。
今日やるなら、明細に三つだけ書く
最初の行動は、会社選びではありません。直近3カ月の明細を開き、①端末代を除いた回線関連費、②最も多かったデータ使用量、③実際の通話料を書いてください。その数字を候補の通常料金へ当てはめ、家族や光回線で増える額を引けば、乗り換えで月いくら下がるかが見えます。
下がる額を確認できた後に、端末、通信エリア、通話方法、サポートを確認する。この順番なら、「安いと思って替えたのに、必要な機能を足したら高くなった」という失敗を避けやすくなります。
参考にした公式情報
- IIJmio「ギガプラン」
- ahamo「料金・データ量」
- ahamo「国内通話料金」
- NTTドコモ「他社からドコモへのMNPの手続き方法」
- 国民生活センター「“格安スマホ”の利用方法やサポート内容に注意」
- 国民生活センター「格安スマホで無料通話のオプションに加入したはずなのに、高額な通話料金を請求された!」
- 国民生活センター「『乗り換えた方が安い』と言われ契約したが、高額。対処方法を知りたい」
- 国民生活センター「電気通信事業法改正と契約解除制度」
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