節約術

給湯器の設定温度でガス代を見直す方法

給湯器の設定温度とガス使用量の関係を整理し、台所・浴室・季節に合わせて安全に調整する手順と、効果を検針票で確かめる方法を解説します。

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やかんと温度計、たたんだバスタオル

この記事で分かること

給湯器の設定温度とガス使用量の関係を整理し、台所・浴室・季節に合わせて安全に調整する手順と、効果を検針票で確かめる方法を解説します。

給湯器のリモコンに表示される温度を下げれば、ガス代も同じ割合で下がると思っていないでしょうか。実際には、蛇口から出すお湯の量と温度がどう変わったかまで見ないと効果を判断できません。特に、お湯と水を蛇口で混ぜる混合水栓では、給湯器の設定だけを変えても使用条件が同じなら節約にならない場合があります。

この記事では、ガス給湯器を主な対象に、台所と浴室の設定を確認し、季節に合わせて無理なく調整し、検針票で結果を確かめるところまで説明します。エコキュート、電気温水器、貯湯式給湯器は温度管理の仕組みが異なるため、機器の取扱説明書を優先してください。

事実・数値は2026-07-24に各省庁、メーカー、ガス事業者の公式情報で確認しました。ガス料金や水温、機器の仕様は家庭ごとに異なるため、この記事では一律の節約額を約束せず、自宅の使用量で判断する方法を採ります。

給湯がガス使用量に与える影響

ガス給湯器は、配管を通る水をガスの燃焼熱で温めます。お湯を作るために必要な熱は、考え方を単純化すると次の三つで増減します。

  • 使うお湯の量
  • 水道水から何℃上げるかという温度差
  • 給湯器の効率や配管で失われる熱

つまり、同じ給湯器なら「高い温度のお湯を大量に使う」ほどガス使用量は増えやすくなります。ただし、設定温度だけでなく、蛇口で水を混ぜた後の温度と総水量まで含めて考える必要があります。

資源エネルギー庁の2023年度の資料では、家庭の用途別エネルギー消費のうち給湯は27.7%です。冷房4.2%、暖房24.2%、厨房9.7%などと比べても、給湯は見直す余地が大きい用途だと分かります(出典:https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2025/data/1218_02_06.pdf)。

温度差の影響は、簡単な例でイメージできます。水温10℃の水を40℃にする場合の温度差は30℃、38℃にする場合は28℃です。同じ量のお湯を使い、給湯効率も同じと仮定すれば、必要な熱は 28 ÷ 30 = 約0.933 となり、理論上は約6.7%少なくなります。これは料金の予測ではなく、温度差だけを比べた計算です。実際のガス代には基本料金、料金単価、給湯器の効率、配管の放熱、湯量の変化が加わります。

また、温度を1℃下げるより、出しっぱなしを短くする方が効果を把握しやすいこともあります。資源エネルギー庁は、45℃のシャワーを1日1分短縮する条件で、年間12.78m³のガスと4.38m³の水を減らせるという試算を掲載しています。同じページでは、シャワー1分の湯量を12Lとしています。これは所定の単価と使用条件による目安なので、自宅の水栓の流量や料金にそのまま当てはまるとは限りません(出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/bathtoilet/index.html)。

ガス代全体を「湯量・温度差・単価」に分けて確認したい場合は、ガス代の節約はお湯からも参考になります。

台所と浴室の設定を確認する

最初に、給湯器の設定を変えず、現在の状態をメモします。家族で共用している場合は、誰かが高温へ変更している可能性もあるため、台所リモコンと浴室リモコンの両方を確認してください。

  1. 給湯器のメーカー名と型番を確認する
  2. 台所・浴室リモコンの給湯温度と、優先表示の有無を記録する
  3. 浴槽の湯はり温度と、蛇口・シャワーの給湯温度を区別する
  4. 台所と浴室の水栓が、単水栓・シングルレバー・ツーハンドル・サーモスタット式のどれかを確認する
  5. 取扱説明書で、推奨温度、設定可能範囲、高温時の警告を読む

注意したいのは、浴槽の「湯はり温度」と、蛇口やシャワーへ送る「給湯温度」が別設定になっている機種です。湯はりを40℃にしても、台所の蛇口へ50℃以上のお湯が供給される設定なら、蛇口側では高温のお湯が出る可能性があります。

東京ガスの公式案内では、単水栓は水と混ぜられないため40℃前後、混合水栓は水と混ぜて使う前提で50℃前後など、水栓の種類によって設定の考え方が異なると説明しています。ただし、これは一般例です。機種、配管、水圧、水栓の仕様が違うため、まず自宅の取扱説明書に従います(出典:https://home.tokyo-gas.co.jp/column/boiler/0158/)。

サーモスタット式の浴室水栓は、給湯器から来たお湯と水を混ぜて、設定した吐水温度へ調整します。Panasonicは、構造上、必要な吐水温度より約10℃高い給湯温度が必要で、給湯器側が50〜60℃なら水栓の温度調節ハンドルも確認するよう案内しています(出典:https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/82079/p/4046/related/1)。給湯器を低くしすぎてシャワーがぬるくなると、家族が水栓を高温側へ回したり、湯量を増やしたりして、狙った省エネにつながらないことがあります。

季節ごとに温度を調整する

同じ40℃のお湯でも、水道水が冷たい冬は温める幅が大きく、水温の高い夏は小さくなります。そのため、冬のガス使用量が夏より増えても、すぐに故障や浪費と決めることはできません。

季節の調整は、次の順番で小さく試します。

  1. まず台所か浴室のどちらか一方だけを対象にする
  2. 蛇口から出る温度が用途に合っているか確かめる
  3. 1〜2℃下げても湯量や使用時間が増えないかを見る
  4. 家族が使いにくい場合は元の設定へ戻す
  5. 夏と冬の記録を別にし、前年同月と比べる

東京ガスは季節別の一例として、浴槽の湯を冬42℃程度、夏37〜40℃程度、シャワーを冬39〜43℃、夏37〜39℃、食器洗いを冬37〜40℃、夏35〜40℃と案内しています。ただし、体調、好み、機器、水栓によって適温は変わります。記事の数字をそのまま固定設定にせず、説明書の範囲内で使える最も低い温度を探すための出発点にします(出典:https://home.tokyo-gas.co.jp/column/boiler/0158/)。

夏は設定温度を下げても、流量を極端に絞ると設定より熱い湯が出る場合があります。東京ガスは、夏場など水温が高いときは少量に絞らず、使用前に手で温度を確かめるよう案内しています(出典:https://home.tokyo-gas.co.jp/housing/gas_user/safe/yu.html)。

用途別の見直し方

次の表は「この温度にすれば必ず安くなる」という基準ではなく、何を変え、何を確認するかを整理したものです。特に混合水栓では、給湯器の表示温度ではなく、蛇口から出る湯の温度・量・使用時間で判断します。

用途試す変更変えない条件確認するもの
食器洗い40℃から38℃など、1〜2℃ずつ下げる洗い直しや湯量を増やさない使用時間、油汚れの落ち方、ガス使用量
シャワー温度より先に、流す時間を1日1分短くする無理に流量を絞らない使用時間、体感温度、家族の使いやすさ
浴槽湯はり温度を1℃ずつ見直す湯量、入浴人数、保温時間をそろえる追いだき回数、入浴時間、ガス使用量
サーモスタット式水栓給湯器と水栓の設定を一組で確認するメーカーが指定する温度差を守る実際の吐水温度、温度の安定性

資源エネルギー庁の食器洗いの試算では、水温20℃の水を1日65L、1日2回、年間253日使う条件で、給湯器の設定を40℃から38℃へ下げると年間8.80m³のガス削減としています。これは条件を固定した試算であり、家庭ごとの削減量ではありません(出典・2026-07-24確認:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html)。

台所だけを詳しく試す手順は、食器洗いの給湯温度を見直すで扱っています。この記事では浴室との共用設定を含む全体調整に絞ります。

混合水栓で無駄が出る使い方

混合水栓では「給湯器の設定温度を下げた」という操作と、「蛇口から出るお湯をぬるくした」という結果が同じとは限りません。

たとえば、給湯器から50℃のお湯を送り、水栓で水を混ぜて40℃・毎分8Lにしているとします。給湯器を45℃へ下げた後も、水栓のレバーをお湯側へ動かして40℃・毎分8Lを保てば、蛇口で使う熱量はほぼ同じです。水の混ざる割合が減り、その分だけ給湯器から来るお湯の割合が増えるためです。

東京ガスの公式FAQも、混合水栓で手元から出すお湯の温度と量が同じなら、給湯器の設定温度を下げても節約にはならないと説明しています。一方、水と混ぜない単水栓では、設定温度を下げて実際に使う湯温も下がればガス使用量を抑えられます(出典:https://support.tokyo-gas.co.jp/faq/show/2302?category_id=934&site_domain=open)。

見直すべきなのは表示温度だけではありません。次の使い方がないかを確かめます。

  • シングルレバーを中央にしたまま、少量のぬるま湯を何度も出す
  • 温まるまで流したお湯を使わず捨てる
  • サーモスタット水栓の目盛りと実際の温度がずれ、必要以上に高温側へ回す
  • シャワー中に止水せず、洗髪や体を洗う間も流し続ける
  • 台所と浴室を同時に使い、温度が不安定になって調整時間が延びる

配管に残った冷水を減らすために給湯器を勝手に改造したり、保温材を機器の排気部まで覆ったりしてはいけません。お湯が出るまで異常に長い、温度が急変する、設定と大きく違う状態が続く場合は、取扱説明書の故障診断を確認し、メーカーや設置業者へ相談します。

やけどと衛生を優先する場面

温度調整では、ガス代より安全を先に置きます。高温設定にした後は、別の人が知らずに蛇口を開くことがあります。子ども、高齢者、皮膚の感覚が弱い人が使う家庭では、家族内で設定を共有し、使う前に手で湯温を確かめてください。浴室と台所のリモコンに「優先」機能がある機種では、どちらから変更できる状態かも確認します。

消費者庁は安全な入浴の目安として、湯温を41℃以下、湯につかる時間を10分までと案内しています。熱い湯への長時間入浴は熱中症につながる可能性があり、特に高齢者は入浴前に家族へ声をかけることなども勧めています(出典:https://www.caa.go.jp/notice/statement/okamura/170125c/)。

衛生上必要な温度管理を、省エネ目的だけで変更しないことも重要です。厚生労働省は、貯湯式や循環式の中央式給湯設備について、レジオネラ属菌による汚染防止のため、貯湯槽内60℃以上、末端の給湯栓55℃以上となる設備を求めています(出典:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/legionella/030725-1.html)。

この基準は病院、施設、循環式中央給湯などを想定した衛生管理の指針であり、家庭用の瞬間式ガス給湯器へ同じ設定を一律に求めるものではありません。しかし、家庭でも貯湯タンクや自動除菌・高温沸き上げ機能がある場合は、自己判断で機能を停止したり、メーカー指定より低く固定したりせず、取扱説明書に従います。

油の多い食器、衛生管理が必要な調理器具、乳幼児用品などは、給湯器の温度だけで洗浄・消毒できたと判断しません。洗剤、食器洗い乾燥機、消毒方法について、それぞれの製品表示と公的な衛生案内を優先します。

使用量で効果を確かめる

設定変更の効果は、1日だけの料金ではなく、ガス使用量で確かめます。請求額は料金単価や補助、原料費調整などでも変わるため、まず検針票や契約先の会員ページにある使用量を見ます。

変更前に記録するもの

  • 給湯器と浴槽の設定温度
  • 台所・浴室の水栓の種類
  • ガスメーターまたは会員ページの使用量
  • 入浴人数、湯はり回数、シャワーのおおよその時間
  • 追いだき回数と食器洗いの回数
  • 比較期間の気温や、旅行など不在日

比較は、変更前後で生活条件をなるべくそろえます。最初の1週間は現状のまま記録し、次の1週間は一か所だけ1〜2℃下げます。家族の人数、入浴方法、食器洗いの回数が大きく変わった日は注記します。短期間では天候や生活のずれが大きいため、月間使用量が出たら前年同月も確認します。

効果の見方は次の式で整理できます。

使用量の増減率(%)=(変更後の使用量-変更前の使用量)÷変更前の使用量×100

ただし、2週間の比較は傾向を見るための試行です。冬から春のように水温と気温が変わる時期は、設定変更以外の影響が混ざります。最終判断は、月単位と前年同月の両方を見て行います。

使用量が減らないときは、温度をさらに下げる前に、次の順番で原因を見直します。

  1. 混合水栓で同じ吐水温度・同じ湯量に戻していないか
  2. ぬるくなった分、シャワー時間や湯量が増えていないか
  3. 気温や水温が下がっていないか
  4. 追いだきや自動保温が増えていないか
  5. ガス暖房やガスコンロなど、給湯以外の使用量が増えていないか

お風呂の追いだきと足し湯を分けて比べたい場合は、お風呂の追いだきと足し湯はどちらが安い?も確認してください。

よくある質問

給湯器の設定温度は何℃にすればガス代を抑えられますか?

一律の正解はありません。単水栓なら、用途に支障のない範囲で1〜2℃ずつ下げると変化を確かめやすくなります。混合水栓やサーモスタット式水栓は、給湯器を下げても吐水温度と湯量が同じなら、ガス使用量がほとんど変わらない場合があります。取扱説明書の指定を優先し、実際の吐水温度・湯量・使用時間を一緒に記録してください。

50℃や60℃の設定は、すぐに40℃へ下げてもよいですか?

水栓の種類を確認せずに一気に下げるのは避けます。サーモスタット式水栓は、希望する吐水温度より高い温度のお湯を給湯器から受け、水と混ぜて温度を安定させる仕組みです。メーカーが指定する温度差を下回ると、ぬるい、温度が安定しないといった症状が出ることがあります。

夏と冬で同じ設定なのに、冬のガス代が高いのはなぜですか?

冬は水道水の温度が低く、同じ40℃まで温めるための温度差が大きくなるためです。ガス暖房の使用や入浴時間の増加も影響します。請求額だけでなく、ガス使用量、前年同月、入浴人数、追いだき回数を合わせて比べます。

設定を下げた効果は何日で判断できますか?

1週間ずつの変更前後比較で傾向を見て、月間使用量と前年同月で再確認するのが現実的です。天候、家族の在宅日数、入浴方法が違うと結果がぶれるため、変更点は一度に一つにします。

追加で確認した一次情報

給湯温度の見直しは、「低いほどよい」という競争ではありません。水栓の仕組みを確認し、実際の吐水温度・湯量・使用時間のどれかを無理なく減らし、安全と衛生を保ったままガス使用量が下がったかを測ることが大切です。まずは今の設定と1週間の使用状況を記録するところから始めましょう。