ガス代を見直すなら、コンロの火を細かく気にする前に、家のどこでお湯を使っているかを見てください。家庭で使うエネルギーの中で給湯は大きな用途であり、東京ガスもお風呂を家庭で最も多くお湯を使う場所として案内しています。
ここで扱うのは、水そのものではなく、その水を温める熱です。浴槽の水量や残り湯の再利用など、水の使い方は水道代の節約で詳しく説明しています。この記事では重ねて説明せず、ガスの側から効く順番を整理します。
ガス代を決める三つの要素
ガス代のうち、使い方で動く部分は次の形で考えると迷いません。
ガス代 = お湯を作る量 × 温める幅 × 単価
- お湯を作る量を減らす:シャワーを流す時間や、浴槽・洗い物で使うお湯を見直します。
- 温める幅を小さくする:水から設定温度まで、どれだけ温めるかを見直します。水温が低い季節ほど同じ設定温度までの幅は大きくなります。
- 単価を見直す:都市ガスかLPガスか、契約先を選べる住まいかを確認します。
細かな節約ワザも、分けてみればこのどれかです。最初から全部に手を出す必要はありません。まず追い焚きを減らし、次にシャワーと設定温度を見直し、最後に検針票でガスの種類と契約条件を確認すれば十分です。
最初にすること|追い焚きを減らす
お風呂では、温めたお湯を冷ましてから、もう一度温める流れを減らすのが先です。冷めたお湯の追い焚きは、逃げた熱をガスで補う動作だからです。
資源エネルギー庁は、入浴の間隔を空けないことと、浴槽にふたをして熱が逃げるのを抑えることを省エネ行動として案内しています。家族で入浴するなら、帰宅や食事の時間を踏まえて、続けて入りやすい時間にお湯を張ります。すぐに入らない人がいるときは、浴槽のふたを閉めておきましょう。
自動保温は便利ですが、冷めた分を温め直す機能でもあります。毎日の予定に合わない長い保温設定になっていないか、給湯器の説明書で確認してください。家族の入浴時間を無理にそろえるのではなく、そろえられる日だけ続けて入るくらいで構いません。
残り湯を洗濯や掃除へ回す話は、水道代を減らす方法です。対応する洗濯機や入浴剤の条件もあるため、詳しくは水道代の節約をご覧ください。
次にすること|シャワーを流す時間と温度を見直す
シャワーを出している間、給湯器は水を温め続けます。髪や体を洗っている間まで流し続けず、止められる場面では止める。それだけで、作るお湯の量を減らせます。資源エネルギー庁と東京ガスも、シャワーを不必要に流したままにせず、使用時間を短くすることを案内しています。
手元で止められるシャワーヘッドは、止める動作を続けやすくする道具です。ただし、水栓や給湯器との相性があります。購入前に、現在のシャワーホースへ取り付けられるか、手元止水に対応しているか、家族が使いにくい水圧にならないかを確認してください。道具を替えても浴びる時間が長くなれば、期待した見直しにはなりません。
設定温度を無理のない範囲で下げることは、温める幅を小さくする方法です。東京ガスは、お風呂や台所の設定温度を下げることが省エネにつながると案内しています。熱いお湯を蛇口で水と混ぜる使い方をしているなら、実際に使いたい温度へ給湯器側の設定を近づけられないか、取扱説明書を見ながら調整します。
ただし、温度は体調と使い道を優先してください。寒い日に体を冷やすほど下げる、食器の油汚れが落ちない温度で我慢する、といった使い方は勧めません。家族で心地よい温度が違う場合も、低い方へ無理に合わせないでください。
台所は「お湯を出す時間」と「熱を逃がさない」を見る
台所で最初に見るのは、洗い物の間ずっとお湯を流していないかです。洗う前に食器の汚れをへらや古布で拭き取り、つけ置きやため洗いを使うと、お湯を出す時間を短くできます。資源エネルギー庁も、出しっぱなしを避け、食器洗いでは低めの給湯温度を使う方法を案内しています。
給湯温度は、汚れ落ちと手の冷えに困らない範囲で調整します。水だけで我慢するのではなく、必要なときはお湯を使い、流し続ける時間と温めすぎを減らす考え方です。
コンロでは、鍋ややかんにふたをして熱を逃がしにくくします。炎が鍋底からはみ出していると、鍋ではなく周囲へ熱が逃げます。鍋底に収まる火力へ調整し、沸いた後は料理に合う火力へ下げてください。資源エネルギー庁も、鍋のふたと、炎を鍋底からはみ出させない使い方を省エネの工夫として紹介しています。
核心|都市ガスとプロパンは料金の仕組みが違う
使い方を整えても、単価そのものが高ければ請求額には限界があります。ここは努力不足の話ではありません。自宅が都市ガスか、プロパンとも呼ばれるLPガスかを、検針票や請求画面で確認してください。
LPガスは、販売事業者が価格を決める自由料金です。資源エネルギー庁も、LPガス販売事業者が自由に価格を設定する制度だと案内しています。地域で一つの単価が決まっているわけではないため、同じ地域でも販売事業者や契約が違えば料金は同じとは限りません。賃貸集合住宅では物件ごとに供給する事業者が決まっていることがあり、物件の条件も確認が必要です。
これは、お湯の使い方だけでは埋められない違いです。検針票の使用量が大きく変わっていないのに請求額が気になるときは、基本料金、従量料金、設備料金の内訳を見てください。経済産業省は、LPガス料金をこれらの区分に分けて通知するルールを案内しています。分からない項目は、契約中の販売事業者へ説明を求めましょう。
持ち家や契約者本人なら、比較できる余地がある
戸建ての持ち家など、自分が設備と契約を管理している場合は、現在の契約期間、解約条件、設備の所有関係、保安対応を確認したうえで、別のLPガス販売事業者を比較できることがあります。都市ガスも、供給地域と契約条件によっては小売会社を選べます。
ただし、会社名や見かけの単価だけで決めず、請求全体と契約条件を同じ基準で比べる必要があります。都市ガスの契約やセット割を含む比較は、電気・ガス乗り換え比較でまとめています。
賃貸のLPガスは、入居者だけで変えられないことがある
賃貸集合住宅のLPガスでは、入居者が販売事業者を事実上選べないことがあります。東北経済産業局は、物件側が選んだ事業者の料金を入居者が受け入れざるを得ない課題を案内しています。経済産業省の消費者向け資料も、賃貸集合住宅では供給事業者を入居者が選択・変更できないと注意を促しています。
その場合、「ガス会社を変えればよい」と入居者へ勧めても解決しません。まず管理会社や大家さんへ、料金表と供給契約、事業者を見直せるかを確認する話になります。これから部屋を探す人は、入居を決める前にLPガスの料金表を不動産会社へ尋ねると、家賃以外の条件も比べられます。
一方、賃貸でも現在の供給が都市ガスで、契約名義が本人なら、小売会社を選べる場合があります。建物一括の契約や他人名義などの制約もあるため、検針票と賃貸借契約を先に確認してください。
やってはいけないガス代の節約
お湯の温度を下げすぎない
寒い季節に、体が冷えて体調を崩すほど温度を下げる必要はありません。洗い物も、油や洗剤が残って洗い直しになれば、暮らしの負担が増えます。快適さと衛生を保てる範囲で調整してください。
給湯器の電源を自己流でこまめに切らない
給湯器は機種によって、追い焚き、自動保温、暖房、凍結予防の動きが異なります。ノーリツは、凍結予防ヒーターを作動させるため、電源プラグを抜かないよう案内しています。追い焚き機能のある機種では、浴槽の水を循環させて配管の凍結を防ぐものもあります。
リモコンの運転スイッチを切ることと、機器の電源プラグを抜くことも同じではありません。「使わないときは何を切るか」「寒い日に浴槽の水を残すか」は、使用中の給湯器の取扱説明書に従ってください。メーカーが想定していない操作を、節約のために繰り返すことは勧めません。
冬に水だけで我慢しない
手洗いや入浴でお湯が必要なら使ってください。このサイトは、寒さや不快さに耐える方法を節約として売りません。温度を少し見直す、流しっぱなしを止める、ふたを閉めるなど、暮らしを壊さない行動を先に選びます。
今日やるなら、ここまでで終わりです
- 家族が続けて入れる日は入浴間隔を詰め、浴槽のふたを閉める
- シャワーと洗い物は、使っていない間のお湯を止める
- 検針票で都市ガスかLPガスかを確認し、賃貸なら変更できる契約かを管理会社へ聞く
上から一つだけでも構いません。細かなコンロ技より先に、お湯を温め直す回数と、お湯を作り続ける時間を見る。それでも高いと感じたら、使い方ではなく単価と住まいの契約条件を確認する。この順番なら、我慢を増やさずに原因へ近づけます。
参考にした公式情報
- 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約・風呂・トイレ」
- 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約・キッチン」
- 東京ガス「光熱費の節約に!お湯を上手に使う方法」
- 資源エネルギー庁「LPガス料金」
- 中部経済産業局「LPガスの取引の適正化」
- 東北経済産業局「LPガス取引適正化」
- 経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルール」
- ノーリツ「凍結に備えての対策」
2026-07-17 時点の公式情報調べ。最新は公式サイトでご確認ください。