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医療費控除のやり方を6手順で解説

医療費控除の対象と対象外、控除額と還付額の違い、必要書類、マイナポータル連携、e-Tax申告の6手順と期限を解説します。

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クリップでまとめた領収書の束と申告書、電卓

この記事で分かること

医療費控除の対象と対象外、控除額と還付額の違い、必要書類、マイナポータル連携、e-Tax申告の6手順と期限を解説します。

1年間の医療費が多かった会社員は、自分の分だけで判断しないでください。条件を満たせば、生計を一にする家族の医療費もまとめて申告できます。

ただし、医療費控除は年末調整だけでは受けられません。会社員も確定申告が必要です。また、「10万円を超えた分が、そのまま戻る制度」でもありません。

この記事では、年末調整を終えた会社員が還付申告をする場合を中心に説明します。対象費用の仕分けからe-Taxでの送信まで、6手順で進められます。制度や画面は変わることがあるため、2026年7月27日時点の公式情報を基にしています。

医療費控除は「医療費が戻る制度」ではない

医療費控除は、税金を計算する前の所得から、一定の控除額を差し引く制度です。支払った医療費や控除額が、そのまま振り込まれるわけではありません。

実際に戻る所得税は、控除額、所得税率、すでに給与から引かれた源泉徴収税額などで変わります。源泉徴収税額が0円で、予定納税もしていない場合は、医療費控除を申告しても還付される所得税がありません。最終的な還付額は、国税庁の確定申告書等作成コーナーに必要事項を入力して確認しましょう。

対象になる基本条件は次の3つです。

  • その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費である
  • 申告する本人が、自分または生計を一にする配偶者や親族のために支払っている
  • 保険金などを差し引いた後の金額が、10万円または総所得金額等の5%という基準を超えている

「生計を一にする」とは、日常の生活費を共にしている関係です。同居しているかだけでは決まりません。別居する子どもや親でも、生活費や医療費を負担していれば対象になる場合があります。反対に、同居や健康保険上の扶養だけで自動的に合算できるわけではありません。

未払いの医療費は、診療を受けた年ではなく、実際に支払った年の対象です。年末の入院費を翌年に支払った場合は、翌年分として集計します。基本条件と計算式は、国税庁「医療費を支払ったとき」で確認できます。

対象になる医療費・ならない医療費を仕分ける

判断の軸は、治療のために必要な支出かどうかです。同じ商品やサービスでも、目的や状況によって扱いが変わることがあります。

対象になりやすい費用条件によって変わる費用原則として対象外の費用
医師・歯科医師による診療や治療健康診断、人間ドック美容目的の整形手術
治療に必要な処方薬や市販薬タクシーによる通院健康増進用のビタミン剤
電車・バスなどの通院費入院時の部屋代自家用車のガソリン代・駐車料金
治療に必要な医療用器具はり、きゅう、柔道整復など疲労回復だけが目的の施術
通常必要な入院中の食事代一定の介護サービスの自己負担額医師や看護師への謝礼

健康診断の費用は原則として対象外です。ただし、診断で重大な病気が見つかり、続けて治療を受けた場合などは対象になることがあります。

タクシー代も原則として対象外です。病状や交通事情から、電車やバスを利用できない場合は対象になり得ます。自家用車で通院したときのガソリン代と駐車料金は対象外です。

通院交通費は領収書が出ないこともあります。日付、通院した人、病院名、利用区間、交通手段、金額を記録しておきましょう。家族の付き添い交通費など、個別の事情で迷う費用は、国税庁「医療費控除の対象となる医療費」や税務署で確認してください。

控除額を計算し、2つの制度を比べる

通常の医療費控除額は、次の式で計算します。控除額の上限は200万円です。

医療費控除額=実際に支払った対象医療費-保険金などで補てんされた金額-基準額

基準額は通常10万円です。ただし、総所得金額等が200万円未満なら、総所得金額等の5%を使います。総所得金額等は、給与の支給総額そのものではありません。会社員は源泉徴収票を用意し、確定申告書等作成コーナーの計算結果で確認すると間違いを減らせます。

たとえば、対象医療費が30万円、入院給付金が8万円、基準額が10万円なら、控除額は12万円です。

30万円-8万円-10万円=12万円

この12万円は、所得から差し引く金額です。12万円がそのまま振り込まれるわけではありません。

入院給付金、高額療養費、家族療養費、出産育児一時金などは、補てんされた金額として差し引きます。ただし、給付の対象になった医療費からだけ差し引きます。

たとえば、入院費5万円に対して入院給付金が8万円支給されたとします。入院費から差し引く金額は5万円までです。余った3万円を、歯科治療費など別の医療費から差し引く必要はありません。

高額療養費は、1か月の窓口負担が年齢や所得に応じた上限を超えたとき、超過分が支給される制度です。厚生労働省の案内では、2026年8月から月額上限の見直しと年間上限の新設、2027年8月から所得区分の細分化が予定されています。申告に使う補てん額は、対象になった診療月と、加入先の健康保険の最新案内で確認してください。

市販薬の購入が多い家庭は、セルフメディケーション税制も試算します。

比較項目通常の医療費控除セルフメディケーション税制
主な対象診療、治療、対象になる薬、通院費など対象となる市販薬の購入費
2026年分の基準10万円、または総所得金額等の5%1万2,000円
控除額の上限200万円8万8,000円
主な追加条件対象医療費を本人が支払っていること申告者本人が健康診断や予防接種など一定の取り組みをしていること

2つの制度は併用できません。両方の条件を満たす場合は、別々に計算して一方を選びます。対象費用の範囲が違うため、支払総額だけで決めないことが大切です。

2026年分までは、国税庁が案内する現行ルールで判断します。一方、財務省の令和8年度税制改正の大綱では、2027年分以後の所得税について、スイッチOTC医薬品の購入費に関する部分の期限撤廃などが示されています。制度全体が2026年末ですべて終了するという意味ではありません。2027年分以後を申告するときは、その年の国税庁の案内で対象薬と条件を確認してください。

e-Taxで医療費控除を申告する6手順

最初に、次のものをそろえます。

  • 会社から受け取った源泉徴収票
  • 医療費通知と、病院・薬局の領収書
  • 電車やバスなど、領収書が出ない通院費の記録
  • 入院給付金、高額療養費など、補てん額が分かる通知
  • 還付金を受け取る本人名義の口座情報
  • マイナンバーカードと暗証番号など、e-Taxで使う本人確認手段
  • ふるさと納税をした場合は、寄附金受領証明書などの記録

源泉徴収票は、確定申告書への添付が不要な場合でも、申告書を作るために必要です。提出の中心は領収書ではなく「医療費控除の明細書」です。

領収書から明細書を作った場合は、確定申告期限等から5年間、自宅などで領収書を保存します。必要な6項目が記載された医療費通知や、条件を満たすXMLデータを利用した分は、明細の記入を簡略化でき、領収書の保存が不要になる場合があります。詳しい条件は国税庁「医療費控除に関する手続」で確認してください。

  1. 1年分の支払いを人・医療機関ごとに集める
    医療費通知と領収書を照らし合わせます。自由診療、市販薬、通院交通費も確認します。同じ支払いを二重に入れないようにしましょう。

  2. 対象外の費用と補てん額を分ける
    美容や健康増進だけが目的の費用を外します。入院給付金や高額療養費は、対象になった医療費と組み合わせて記録します。

  3. 通常の医療費控除と特例を試算する
    セルフメディケーション税制の条件も満たす場合は、2つを別々に計算します。併用はできないため、使う制度を1つ選びます。

  4. 確定申告書等作成コーナーを開く
    国税庁の確定申告書等作成コーナーで、所得税の申告書を作ります。画面の案内に沿って、源泉徴収票の内容を入力します。

  5. 医療費と補てん額を入力する
    医療費通知、領収書、医療費集計フォームなどから入力します。マイナポータル連携を使うと、本人の源泉徴収票や医療費通知情報などを自動入力できます。家族分の医療費通知情報を取得するには、事前にマイナポータルで代理人登録が必要です。準備方法はe-Taxのマイナポータル連携案内で確認できます。

  6. 計算結果を確認して送信する
    氏名、住所、給与、対象医療費、補てん額、還付口座を見直します。送信後は、受信通知と申告書の控えを保存します。書面で提出する場合は、作成コーナーの案内に沿って印刷し、必要書類を確認して税務署へ提出します。

マイナポータルは、医療費控除の申告先ではありません。e-Taxへ情報を連携し、申告書へ自動入力するための仕組みです。

さらに、マイナポータルの医療費通知情報だけでは集計が終わらないことがあります。マイナポータルの公式FAQによると、自由診療、治療用装具、はり・きゅう、柔道整復、後日支給された高額療養費などは表示されません。領収書、交通費の記録、保険給付の通知を照合し、足りない支出と補てん額を手入力してください。

申告期限は「還付だけか」で分ける

年末調整済みの会社員が、医療費控除による還付だけを求める場合は、原則として対象年の翌年1月1日から5年間、還付申告ができます。2025年分なら、国税庁は2030年12月31日までと案内しています。

一方、副業所得などがあり、もともと確定申告をする義務がある人は、5年以内ならいつでもよいわけではありません。通常の確定申告期限が基準です。期限を過ぎている場合は、早めに税務署へ相談してください。

また、医療費控除のために確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。特例を申請済みの寄附も含め、その年のふるさと納税をすべて寄附金控除として申告します。

よくある質問

医療費が10万円を超えれば、その超過分がそのまま戻りますか?

いいえ。医療費から補てん額と基準額を引いた金額は、所得から差し引く「控除額」です。実際の所得税の還付額は、所得税率や源泉徴収税額などで変わります。源泉徴収税額が0円で、予定納税もない場合は、還付される所得税がありません。

別居している家族の医療費も合算できますか?

合算できる場合があります。同居かどうかだけではなく、支払った時点で生計を一にする配偶者や親族の医療費を、申告者が支払ったかで判断します。仕送りや支払いの状況が複雑な場合は、国税庁や税務署に確認してください。

医療費の領収書は税務署へ提出しますか?

通常は、領収書を基に作った医療費控除の明細書を提出します。領収書は自宅などで5年間保存します。ただし、必要事項を満たす医療費通知や一定のXMLデータを利用した分は、保存が不要になる場合があります。

マイナポータルの医療費だけで申告は完了しますか?

完了しません。マイナポータル単体では申告できないため、e-Taxなどで確定申告をします。医療費通知情報に表示されない自由診療や通院交通費を足し、後日支給された高額療養費などの補てん額も確認してください。

ワンストップ特例を申請済みでも、医療費控除を申告できますか?

申告できます。ただし、医療費控除のために確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。その年に行ったすべてのふるさと納税を、寄附金控除として申告してください。詳しくは国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」で確認できます。

公式一次情報

確認日: 2026-07-27

まとめ

  • まず、家族分を含む領収書、医療費通知、通院交通費を集め、対象費用を仕分ける
  • 次に、補てん額を対応する医療費から引き、通常の医療費控除と特例を試算する
  • 最後に、マイナポータルだけに頼らず不足分とふるさと納税を確認し、e-Taxの計算結果を見て送信する