乗り換え比較

住宅ローンは固定金利か変動金利か比較する方法

住宅ローンの固定金利と変動金利を、返済額、金利上昇、諸費用、団信、繰上返済、家計の余力まで同じ条件で比べる方法を解説します。

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木の家の模型と2つの書類ばさみ、電卓

この記事で分かること

住宅ローンの固定金利と変動金利を、返済額、金利上昇、諸費用、団信、繰上返済、家計の余力まで同じ条件で比べる方法を解説します。

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住宅ローンの固定金利と変動金利は、「いま表示されている金利が低い方」を選べば終わりではありません。違うのは当初の金利だけでなく、将来の金利変動を誰が負担するか、返済額をいつ見直すか、家計が何年先まで支出を確定できるかです。

固定金利は、金利が上がったときの負担を避けやすい代わりに、一般に借入時の金利が変動金利より高めです。変動金利は当初の返済額を抑えやすい一方、返済中の金利上昇を借り手が引き受けます。結果としてどちらの総支払額が少なくなるかは、将来の金利経路、返済期間、繰上返済、諸費用などが決まらなければ分かりません。

この記事では、特定の金融機関や商品を勧めるのではなく、同じ借入条件で比較表を作る手順を七つに分けます。掲載する試算は仕組みを理解するための仮定であり、将来の金利を予測するものではありません。実際の契約前には、金融機関の最新の商品説明書、返済予定表、団体信用生命保険の重要事項を確認してください。

1. 金利タイプの違いを「誰が変動を負うか」で捉える

住宅ローンの金利タイプは、主に全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型の三つです。

金利タイプ金利が確定する期間主な利点主な注意点
全期間固定金利型借入時から完済まで毎月返済額と総返済額の見通しを立てやすい市場金利が下がっても契約中の金利は原則として下がらない
固定金利期間選択型2年、5年、10年など商品所定の期間一定期間の返済額を固定できる固定期間終了後の金利、優遇幅、返済額が変わる可能性がある
変動金利型金利を定期的に見直す一般に借入時の金利が全期間固定より低い金利上昇により利息と総返済額が増える可能性がある

住宅金融支援機構は、変動金利型について、市場金利の変動を利用者の借入金利へ反映し、一般には半年に一度金利を見直すと説明しています。全期間固定金利型では、借入時に将来の適用金利と返済額が確定します。つまり、固定金利で支払う当初の上乗せ分は、単なる損ではなく、将来の金利上昇を貸し手側へ移すための費用という見方ができます。

ただし、「固定」という言葉だけでは不十分です。固定金利期間選択型は、当初期間が終われば、その時点の金利や契約上の優遇幅で返済条件が変わり得ます。全期間固定と同じではありません。比較表には「固定か変動か」だけでなく、「いつまで固定か」「終了後の基準金利と優遇幅はどう決まるか」まで書きます。

変動金利では、金利の見直しと返済額の見直しが同じ時期とは限りません。元利均等返済の商品には、返済額を5年間据え置く仕組みや、見直し後の返済額を従前の1.25倍までとする仕組みが見られます。しかし、これらはすべての住宅ローンに共通する法定ルールではなく、採用の有無や詳細は商品によって異なります。返済額が据え置かれても金利上昇が消えるわけではなく、返済額の内訳で利息の割合が増え、元金が予定より減りにくくなる場合があります。

2. 毎月返済額だけで比べず、同じ条件の比較表を作る

広告の金利や最初の毎月返済額だけを並べると、固定金利は高く、変動金利は安く見えやすくなります。しかし、比較条件がそろっていなければ判断材料になりません。少なくとも次の項目を同じにします。

  1. 借入額と自己資金
  2. 返済期間と返済方法
  3. ボーナス返済の有無
  4. 適用金利と金利優遇の期間
  5. 融資手数料、保証料、登記関係費用
  6. 団信の保障範囲と、そのための金利上乗せや保険料
  7. 繰上返済の予定、最低金額、手数料

たとえば、借入額3,500万円、35年、元利均等返済、ボーナス返済なしと仮定します。変動金利を年0.7%、全期間固定を年2%として、金利が最後まで変わらない単純計算をすると、毎月返済額は変動が約93,982円、固定が約115,942円です。差は月約21,960円になります。

この数字は、2026年7月時点の特定商品の提示金利ではなく、比較方法を示すための仮定です。元利均等返済の標準式で計算し、手数料、保証料、団信、税、繰上返済は含めていません。「変動なら35年間ずっと0.7%」と予測しているわけでもありません。

重要なのは、当初差額の使い道です。変動金利を選び、月約22,000円の差額を生活費へ組み込むと、金利が上がったときに対応できません。差額を別口座で積み立て、返済増への予備費として残すなら、変動リスクへの耐性が上がります。変動金利の低さは、使えるお金が増えたというより、将来負担の一部をまだ確定していない状態と考える方が安全です。

総額を比べるときは、次の形で計算します。

比較する総負担 = 元金 + 支払利息 + 融資手数料 + 保証料 + 団信の追加負担 + その他ローン固有の費用

住宅購入そのものに必要な税金、登記費用、火災保険料なども資金計画には含めます。ただし、物件とローンのどちらを選んでも同額になる費用は、金利タイプ同士の差額とは分けて記録すると比較しやすくなります。

3. 金利上昇時を一つではなく三つの経路で試算する

変動金利の比較では、「金利が上がるか当てる」のではなく、「上がった場合も家計が持つか」を調べます。予測を一つ置くより、少なくとも次の三つの経路を作る方が実用的です。

  • 据え置きケース: 現在の仮定金利が完済まで変わらない
  • 緩やかな上昇ケース: 数年かけて段階的に上がる
  • 早い上昇ケース: 返済初期に大きく上がり、その後も高い水準が続く

先ほどと同じく3,500万円を35年、当初年0.7%で借り、5年間返済した直後に年2%へ上がると仮定します。5年後の残高を約30,509,243円と計算し、残り30年を年2%で返す単純な再計算では、毎月返済額は約112,768円です。当初より約18,786円増えます。

この試算も将来予測ではありません。また、実際の商品の5年ルールや1.25倍ルール、金利の見直し月、端数処理は反映していません。契約に返済額の据置ルールがある場合、請求額はこの単純再計算と異なる可能性があります。その場合も、適用金利、毎月の利息、元金充当額、残高の推移を別々に確認します。

ここまでの仮定を一つの表にまとめると、当初返済額の差と金利上昇後の変化を切り分けて見られます。

試算ケース適用金利の仮定毎月返済額読み取れること
変動・金利据え置き0.7%が35年間継続93,982金利が変わらない場合の比較基準
全期間固定2%が35年間継続115,942借入時点で返済額を確定する場合の負担
変動・5年後に上昇当初5年は年0.7%、残り30年は年2当初約93,982円、6年目以降約112,768単純再計算では月約18,786円増える

借入額3,500万円、35年、元利均等返済、ボーナス返済なしという共通条件での概算です。諸費用や団信は含まず、金利上昇ケースでは5年後に残期間で返済額を再計算しています。固定と変動の優劣を示す表ではなく、家計へ入れる数字をそろえるための表です。

試算表では、各ケースについて次の四つを並べます。

確認項目見る理由
金利上昇後の毎月返済額月々の家計で吸収できるかを見る
返済額のうち元金と利息返済額据置中に元金の減りが鈍っていないかを見る
10年後・20年後の残高売却、借換え、退職時に残る債務を把握する
完済までの総返済額当初返済額の安さだけでは見えない負担を比べる

「上がったら固定へ借り換える」という対応も、自動的な逃げ道にはなりません。住宅金融支援機構は、全期間固定金利が変動金利に先行して上昇する可能性を案内しています。借換えには審査があり、手数料や登記費用なども発生し得ます。金利上昇後に必ず有利な固定金利へ移れる、という前提は置かない方がよいでしょう。

4. 手数料と団信を含め、金利以外の条件を金額化する

住宅ローンには、融資手数料や保証料がかかるのが一般的で、金額や徴収方法は金融機関と商品で異なります。全国銀行協会も、返済額だけでなく諸費用を含む総支払額で比べるよう案内しています。

同じ表示金利でも、定額の融資手数料を払う商品と、借入額へ一定割合を掛ける商品では初期費用が変わります。保証料を契約時にまとめて払う方式と、金利へ上乗せする方式もあります。「保証料0円」でも融資手数料が高い場合があるため、一つの費目だけを見て有利とは判断できません。

団体信用生命保険、通称「団信」は、借り手が死亡した場合など、契約所定の事由に該当したときに保険金をローン債務へ充てる仕組みです。保障対象は商品によって異なり、基本保障のほか、がん、三大疾病、就業不能などの特約が設けられることがあります。保障を厚くすると金利が上乗せされる商品もあります。

比較表には、団信について次を転記します。

  • 誰が被保険者になるか
  • 死亡、高度障害、身体障害、疾病など、何が支払事由か
  • 免責事項と保障終了年齢
  • 金利上乗せ、別払い保険料の有無
  • ペアローンや連帯債務で、一人に事由が生じたときにどの債務まで保障されるか

「団信付き」という名前だけで保障が同じだと思わないことが大切です。たとえば住宅金融支援機構が2026年に公表した新機構団信制度の概要でも、新機構団信、ペア連生団信、新3大疾病付機構団信で保障と借入金利への上乗せが異なります。民間商品の条件はさらに異なるため、告知書と重要事項説明書を読み、必要なら保険の既契約との重複も確認します。

金利差を比べる表の最下段には、「初期費用を含む負担」と「団信を同程度の保障へそろえた負担」を置きます。これで、保障の薄い低金利商品と、保障の厚い商品をそのまま比べる誤りを減らせます。

5. 繰上返済との相性は、金利タイプより資金の残し方で決まる

繰上返済は、通常返済とは別に元金を前倒しで返す方法です。住宅金融支援機構は、一部繰上返済を、毎月返済額を保って期間を短くする「期間短縮」と、期間を保って毎月返済額を下げる方法に分けています。どちらも将来の利息を減らせますが、目的が違います。

変動金利では、元金を早めに減らすと、将来金利が上がったときに利息がかかる残高を小さくできます。そのため繰上返済を金利上昇への備えとして使えます。一方、全期間固定でも、繰上返済によって確定済みの将来利息を減らせます。したがって「変動なら繰上返済、固定なら不要」と単純には分けられません。

確認すべきなのは、次の条件です。

  1. 一部繰上返済の最低金額
  2. Web手続きと窓口手続きの手数料
  3. 期間短縮型と返済額軽減型を選べるか
  4. 固定金利期間中の違約金や制限
  5. 全額繰上返済時の手数料
  6. 保証料を前払いしていた場合の返戻条件

これらは金融機関や商品によって異なります。全国銀行協会は、最低返済額や手数料に商品差があると説明しています。契約前に「将来は繰上返済するつもり」と考えるだけでなく、実行条件を商品説明書で確かめます。

ただし、繰上返済へ資金を入れすぎると、病気、失業、修繕、教育費などに使える現金が減ります。いったん返した元金は、普通預金のように自由には引き出せません。変動金利を選ぶなら特に、金利上昇へ備える現金と、生活上の緊急資金を残したうえで繰上返済額を決めます。複利と金利の関係は、既存記事の複利はなぜ時間で増え方が変わる?でも式から確認できます。

6. 家計の余力は「返済できる額」ではなく「悪化しても続けられる額」で測る

金融機関の審査に通る借入額と、家計が無理なく返し続けられる借入額は同じとは限りません。比較時には、現在の平均的な月だけでなく、支出が増える年と収入が減る年を家計表へ入れます。

少なくとも、次の変化を置いてください。

  • 育児、進学、介護などによる支出増
  • 育児休業、転職、独立、退職などによる収入減
  • 固定資産税、管理費、修繕積立金、戸建て修繕費
  • 自動車や家電の買替え
  • 金利上昇時の住宅ローン返済増
  • 団信で保障されない療養や就業不能

変動金利を検討する場合は、上昇ケースの毎月返済額を家計へ入れ、それでも毎月黒字を保てるか、緊急資金を取り崩さずに済むかを見ます。固定金利を検討する場合も、返済額が変わらないことだけで安心せず、固定資産税や修繕費など住宅保有コストの増加を含めます。

日本銀行も2026年5月の講演資料で、変動金利型が多い日本では、金利上昇により住宅ローンの名目利払い額が増え、返済負担の累積的な変化に留意が必要だと説明しています。これは一律に変動金利を避けるべきという意味ではなく、金利上昇を一回の返済額だけでなく、残高と返済期間を通じて見る必要があるという材料です。

家計の余力は、次の三層に分けると判断しやすくなります。

  1. 毎月の余力: 通常月の手取り収入から、生活費、住宅費、積立を引いた残り
  2. 現金の余力: 収入が止まったときにも生活と返済を続けられる預貯金
  3. 将来の余力: 教育、介護、退職など大きな支出の年にも残る資金

現金の余力を決める手順は、生活防衛資金はいくら必要?家計から計算する方法で確認できます。返済額の上昇を吸収する余地を作るなら、固定費の見直しは順番が9割もあわせて使えます。いずれも住宅ローンの返済余力と同じ口座で二重に数えないことが大切です。

住宅ローンだけを軽く見せるために、ボーナス返済を大きく置くと、賞与が減った年の負担が集中します。比較ではボーナス返済なしを基準にし、利用する場合は賞与がなくても支払える現金を別に確保する方法が保守的です。

金利の方向を正確に予測できなくても、家計が耐えられる上限は決められます。「適用金利が何%になったら毎月赤字になるか」「返済額が月いくら増えたら積立を止めることになるか」を逆算し、その手前で余裕がなくなるなら、借入額を下げる、返済期間を見直す、固定金利で支出を確定する、といった対応を検討します。

7. 向く人を条件別に整理し、最後は契約書で照合する

固定金利と変動金利の選択は、性格診断ではなく、家計の条件とリスク負担能力で決めます。

住宅金融支援機構の2026年1月調査では、今後5年以内に住宅ローンを利用する予定の1,500人が希望する金利タイプは、変動型37.0%、固定期間選択型32.1%、全期間固定型30.9%に分かれました。選択が一つに集中していないことからも、利用者の多さだけで自分の答えを決めず、家計条件へ戻して比べる必要があります。

条件全期間固定を検討しやすい変動を検討しやすい
毎月の家計返済増を吸収する余力が小さい返済増を吸収できる継続的な余力がある
将来支出教育費などが増え、住宅費を固定したい近い将来に他の支出が減る見込みがある
手元資金金利上昇に使える予備資金が少ない緊急資金とは別に予備資金がある
返済期間長く、金利変動の影響を受ける期間も長い短い、または早期に元金を減らせる
管理の負担金利を追わず、返済計画を確定したい定期的に残高と金利を確認し、対応できる
重視すること支払額の予測可能性当初負担の低さと、低金利が続く場合の利益

固定金利が向く条件に多く当てはまっても、借入額そのものが大きすぎれば安全とはいえません。反対に、変動金利が向く条件を満たしていても、低金利が続く保証はありません。固定は「必ず得」、変動は「必ず危険」という結論ではなく、負担するリスクの場所が違います。

最終比較では、候補商品ごとに一枚の確認票を作ります。

  • 適用金利と、基準金利からの優遇幅
  • 金利と返済額を見直す時期
  • 5年ルール、1.25倍ルールの有無
  • 固定期間終了後の選択肢と条件
  • 金利据置中の元金・利息の扱い
  • 融資手数料、保証料、登記関係費用
  • 団信の支払事由、免責、上乗せ負担
  • 一部・全額繰上返済の条件
  • 借換えや金利タイプ変更の可否と費用
  • 三つの金利経路で試算した返済額、残高、総負担

説明を受けたら、「返済額が据え置かれる期間に金利が上がった場合、元金は予定どおり減るか」「固定期間終了時に優遇幅はどうなるか」「団信の保障を同じにした総負担はいくらか」を具体的な数字で尋ねます。口頭説明だけでなく、契約書、商品概要説明書、返済予定表へ答えが反映されているかを照合します。

金利は住宅ローンを選ぶ重要な要素ですが、単独の正解ではありません。当初金利ではなく、費用と保障をそろえ、複数の金利経路を試し、悪化した家計でも返済を続けられるかまで確認する。この順序なら、将来の金利を当てなくても、自分の家計にとって引き受けられる選択肢を絞れます。

よくある質問

固定金利と変動金利は、結局どちらが得ですか?

完済までの金利経路が事前には分からないため、一律には決められません。同じ借入額・期間・団信・諸費用にそろえ、変動金利は据え置き、緩やかな上昇、早い上昇の複数ケースで総負担と家計残高を比べます。

変動金利には必ず「5年ルール」と「1.25倍ルール」がありますか?

必ずではありません。採用の有無や対象となる返済方法は商品によって異なります。返済額が据え置かれても適用金利は変わり得るため、商品説明書で金利、返済額、元金充当額の見直し方法を確認します。

金利が上がってから固定金利へ変更すれば間に合いますか?

有利に変更できるとは限りません。固定金利が先に上昇する可能性があり、借換えには審査や諸費用もあります。変更を前提にせず、変動金利のままでも耐えられる上昇幅を契約前に試算します。

繰上返済と手元資金の確保はどちらを優先しますか?

まず収入減や急な支出に使える生活防衛資金を分け、その残りから繰上返済を検討します。繰上返済は将来利息を減らせますが、返した元金は必要時に預金のようには引き出せません。

公式情報・確認日

一次情報は2026-07-24に確認しました。金利、商品条件、団信、手数料は変更されるため、公開前および契約前に各金融機関の最新資料で再確認してください。