この記事の結論
電気・ガス代の見直しは、広告の「年間○円お得」だけで決めないことが大切です。直近12か月の使用量を集め、すべての候補へ同じ条件を入れます。そのうえで、初年度と特典終了後の通常年を比べます。
この「12か月・初年度・通常年」で比べる方法は、季節差や一時的な特典に惑わされにくくするための、この記事独自の手順です。法令上の義務でも、将来の請求額を保証する方法でもありません。
最初から乗り換え先を探す必要はありません。今日やることは、最新の検針票か会員ページを開き、次の3項目を書き写すだけです。
- 契約中の会社名とプラン名
- 当月の使用量と請求額
- 契約容量と契約名義
全体の流れは次の通りです。
- 現在の契約情報を確認する。
- 直近12か月の使用量と請求額を集める。
- 料金の内訳と契約条件を同じ表へ入れる。
- 電気、都市ガス、LPガスを分けて比べる。
- 新しい会社の公式窓口から申し込む。
- 切替後の使用量、単価、請求額を確認する。
料金単価、燃料費調整、原料費調整、市場価格に連動する調整、再エネ賦課金、国の支援、特典、解約金は変わることがあります。公開直前と申込直前に、候補会社の公式料金表、約款、重要事項説明書を確認してください。
検針票から12か月分の比較表を作る
最初の30分で確認する項目
紙の検針票がある場合は、手元に置きます。紙がない場合は、契約中の会社の会員ページ、Web検針票、請求書、契約書面を開きます。
次の項目を1枚へ転記してください。
- 契約中の会社名
- プラン名
- 電気の契約アンペア、または契約容量
- 契約名義
- お客さま番号
- 供給地点特定番号
- 当月の使用量
- 当月の請求額
- 契約期間と解約金
- セット割の有無
- オール電化、時間帯別料金、太陽光発電の有無
供給地点特定番号は、電気やガスを使う場所を識別する番号です。お客さま番号とは別です。東京電力パワーグリッドは、電気の供給地点特定番号を全国一律で付ける22桁の番号と説明しています。東京ガスのFAQでは、電気は22桁、ガスは17桁と案内しています。お客さま番号の形式は会社ごとに異なるため、桁数で判断しないでください。見つからない場合は、契約中の会社の公式窓口へ確認します(東京電力パワーグリッドの案内、東京ガスのFAQ、いずれも2026-07-27確認)。
検針票や会員ページには、氏名、住所、お客さま番号、供給地点特定番号などが載っています。国民生活センターは、これらの情報を勧誘相手へすぐに教えないよう注意を促しています。実物の写真を比較サイトや共有チャットへ載せるのも避けましょう(国民生活センターの注意喚起、2026-07-27確認)。
月ごとの使用量と請求額を並べる
電気は「kWh(キロワット時)」、ガスは「m³(立方メートル)」で使用量が表示されます。電気は月ごとのkWh、ガスは月ごとのm³、請求額、対象期間を一覧にします。
| 月 | 電気使用量 | 電気請求額 | ガス使用量 | ガス請求額 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | kWh | 円 | m³ | 円 | 暖房・給湯 |
| 2月 | kWh | 円 | m³ | 円 | |
| 3月 | kWh | 円 | m³ | 円 | |
| … | … | … | … | … | |
| 12月 | kWh | 円 | m³ | 円 | 暖房・給湯 |
| 合計 | kWh | 円 | m³ | 円 |
電気やガスの使用量は、冷暖房や給湯の影響で季節ごとに変わります。1か月だけで比べると、たまたま使用量が多い月や少ない月に引っ張られます。12か月分を使えば、夏と冬を含めて比べられます。
12か月分がそろわなくても、作業を止める必要はありません。まず集められる月だけを並べます。ただし、候補同士には同じ月のデータを入れてください。夏だけ、冬だけなど期間が偏っている場合は、「年間額ではなく参考値」と表へ書きます。前年の数字を混ぜる場合は、対象年月も残します。
引っ越し、家族人数の変化、在宅時間の変化、大型家電の買い替えがあった月は、メモ欄へ書きます。これにより、料金プランの差と暮らし方の変化を分けて考えやすくなります。
電気料金は内訳をそろえて試算する
電気料金は、基本料金または最低料金だけでは比べられません。使用量に応じた電力量料金のほか、月ごとに変わる調整額、制度上の負担、割引や特典があります。
候補会社の公式サイトで、料金単価表、約款、重要事項説明書を開きます。料金シミュレーションの結果だけでなく、何を含んだ金額かを確認してください。
| 確認項目 | 家計への影響 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 基本料金・最低料金 | 使用量が少なくてもかかる場合がある | 料金単価表 |
| 電力量料金 | 使用量や段階によって変わる | 料金単価表 |
| 燃料費調整額 | 燃料価格などにより月ごとに変わる | 燃料費調整制度、約款 |
| 市場価格に連動する調整 | 算定式や変動幅がプランごとに異なる | 約款、重要事項説明書 |
| 再エネ賦課金 | 制度に基づき請求へ反映される | 試算の内訳 |
| セット割・特典 | 適用条件や終了時期がある | キャンペーン条件 |
| 契約期間・解約金 | 短期解約時に費用が出る場合がある | 重要事項説明書 |
| 支払方法 | 指定カードなどの条件がある場合がある | よくある質問 |
燃料費調整額は、原油やLNG(液化天然ガス)などの価格変動を料金へ反映する仕組みです。東京電力エナジーパートナーは、平均燃料価格に応じて毎月加算または差し引きすると説明しています。同社では規制料金の燃料費調整単価に上限がある一方、同社の自由料金には上限がないと案内しています。これは同社の契約区分についての説明です。他社や別プランへそのまま当てはめず、候補ごとの公式条件を確認してください(東京電力エナジーパートナーの燃料費調整制度、2026-07-27確認)。
市場価格に連動するプランも、算定式、上限、通知方法が同じとは限りません。「市場価格が上がれば、すべてのプランが同じ割合で上がる」とは考えず、候補の約款を読みます。
同じ条件で初年度と通常年を比べる
候補ごとに入力条件が違うと、年間額を正しく比べられません。次の条件を固定します。
- 同じ月別使用量を使う。
- 同じ契約アンペアまたは契約容量を使う。
- 誰でも継続して受けられる割引と、一時特典を分ける。
- 初年度と、特典終了後の通常年を分ける。
- 試算日と、含む費目、含まない費目を残す。
以下は比較方法を示す仮定の例です。実在するプランの料金ではありません。
| プラン | 初年度 | 通常年 | 2年間合計 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 現在の契約 | 180,000円 | 180,000円 | 360,000円 | 同じ使用量と仮定 |
| 候補A | 165,000円 | 165,000円 | 330,000円 | 一時特典なし |
| 候補B | 160,000円 | 170,000円 | 330,000円 | 初年度だけ特典あり |
候補Bは初年度だけを見ると安く見えます。しかし、2年間では候補Aと同額です。この場合は、解約金、価格の変わり方、問い合わせ方法、ポイントの使いやすさまで見て決めます。
試算表には、次の注記を残してください。
仮定:使用量と料金条件が同じ場合の計算含む:基本料金、従量料金、調整額、割引など含まない:工事費、機器代、使わないポイントの価値など試算日:公式情報を確認した日支援・特典:期間限定の国の支援や特典を含むか
2026年の期間限定支援や値引きが試算へ入っている場合は、通常の単価と分けます。終了後も同じ金額が続く前提にしないでください。
ガスの種類と申込手順を分けて確認する
都市ガスとLPガスを同じ表へ混ぜない
都市ガスとLPガスは、料金の仕組みや設備条件が異なります。現在の契約がどちらかを、検針票や契約書面で確認します。
LPガスは、販売事業者が料金の計算方法を決める自由料金です。LPガスガイド2025年改訂版は、2025年4月から、基本料金、従量料金、設備利用等料金を分ける三部料金制へ移行したと説明しています。設備料金が0円でも、請求書や契約書面の3つの欄を確認します(LPガスガイド2025年改訂版、2026-07-27確認)。
| LPガスの確認欄 | 内容 |
|---|---|
| 基本料金 | 使用量にかかわらずかかる固定部分 |
| 従量料金 | 使用量に応じてかかる部分 |
| 設備利用等料金 | ガス器具などの設備費用。0円の場合も欄を確認 |
| 算定方法 | 単価や料金が変わる条件 |
| 貸与設備 | 給湯器などの所有者と費用負担 |
| 解約条件 | 解約時の精算や設備費用 |
持ち家でLPガス会社を比べる場合は、同じ月別使用量と設備条件で見積もりを依頼します。賃貸では建物全体の契約になっている場合があります。管理会社と現在の契約先へ、変更できるかを確認してください。LPガスから都市ガスへ変える場合は、配管や機器など別の条件が関わるため、料金プランだけの切り替えとして扱いません。
候補会社は公式情報で確認する
比較サイトは候補を探す入口として使えます。ただし、表示順位だけで決めず、少なくとも2社の公式サイトを開くのがこの記事の推奨手順です。2社という数は公的な義務ではありません。
次の項目を候補ごとに確認します。
- 正式な会社名と連絡先
- 自宅が供給エリアに入るか
- 現在の契約容量に対応するか
- 料金表と調整額の算定方法
- 契約期間と解約金
- セット割の条件と終了時期
- 支払方法
- 価格改定の通知方法
国民生活センターは、勧誘してきた会社と実際に契約する会社の社名、連絡先、料金プラン、算定方法を確認するよう案内しています。訪問や電話で「地域全体が変更になる」「今日だけ」と急かされても、その場で検針票を見せないでください。会社名と連絡先を控え、自分で開いた公式サイトの窓口から確認します(国民生活センターの案内、2026-07-27確認)。
申込みから最初の請求まで
候補が決まったら、新しい会社の公式申込ページから進めます。東京ガスは、同社への切り替えで供給地点特定番号、契約名義、契約番号を用意するよう案内しています。また、同社への切り替えでは、現在の会社の解約手続きを同社が行うと説明しています。これは東京ガスの手順です。すべての会社や引っ越しに共通するとは限りません(東京ガスの切替案内、2026-07-27確認)。
自己判断で現在の契約を先に解約せず、切替先の案内を確認してください。引っ越し、LPガスから都市ガスへの変更、設備工事を伴う変更は、別の手続きになる場合があります。
- 公式サイトで供給エリアと料金条件を確認する。
- 重要事項説明書を保存する。
- 契約期間、解約金、価格改定の通知方法を読む。
- 契約名義、お客さま番号、供給地点特定番号を用意する。
- 新しい会社の公式申込ページから手続きする。
- 旧契約の解約処理を誰が行うか確認する。
- 切替日とメーター対応の有無を確認する。
- 最初の請求書で使用量、単価、請求額を見る。
メーター交換の費用、立ち会い、停電の有無、工事期間は、地域や設備、申込状況で変わります。全国共通だと決めつけず、切替先と地域の送配電事業者の公式案内を申込時点で確認してください。
切替後は、前年同月の請求額だけでなく、使用量と単価も並べます。気温、在宅時間、使用機器、世帯人数が違えば、使用量も変わります。請求額が下がった理由を、契約変更だけの効果だと決めつけないことが大切です。
よくある質問
紙の検針票がない場合は、何を見ればよいですか?
契約中の会社の会員ページ、Web検針票、請求書、契約書面を確認します。供給地点特定番号やお客さま番号が見つからない場合は、検索広告で見つけた窓口ではなく、現在の契約会社の公式窓口へ問い合わせてください。東京ガスも、会員サイトや検針票で確認し、不明なら契約中の会社へ問い合わせるよう案内しています(東京ガスのFAQ、2026-07-27確認)。
供給地点特定番号とお客さま番号は同じですか?
別の番号です。供給地点特定番号は供給場所を識別します。お客さま番号は、契約会社が契約を管理するために使います。電気の供給地点特定番号は22桁です。ガスの桁数は契約中の会社の公式案内で確認してください。
切り替える前に、現在の会社を自分で解約しますか?
先に自己解約せず、切替先の公式案内を確認します。新しい会社が旧契約の廃止手続きを取り次ぐ場合があります。一方で、引っ越しや設備工事を伴う変更は別手続きになる場合があります。
LPガスは都市ガスと同じ方法で比べられますか?
同じ表へ混ぜない方が分かりやすくなります。LPガスは、基本料金、従量料金、設備利用等料金、算定方法、貸与設備、解約条件を確認します。賃貸では、自分だけで会社を変えられない場合があるため、管理会社へ確認してください。
訪問販売で契約してしまったら、どうすればよいですか?
契約書面、事業者名、契約日を確認します。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、訪問販売は原則として法定書面を受け取った日から8日以内なら、書面または電磁的記録でクーリング・オフできると説明しています。ただし、取引方法や適用除外などで扱いが異なります。個別に決めつけず、早めに消費者ホットライン188へ相談してください(消費者庁の特定商取引法ガイド、国民生活センターの案内、いずれも2026-07-27確認)。
公式一次情報
確認日: 2026-07-27
- 東京電力パワーグリッド「電気をご使用のお客さまのお手続き」: 電気の供給地点特定番号と、供給者を変更する際の手続きが説明されています。
- 東京ガス「他社から電気・ガスに切り替え手続き」: 同社へ切り替える際に用意する契約情報と、解約手続きの扱いが案内されています。
- 東京ガス「供給地点特定番号の確認方法」: 電気とガスの供給地点特定番号の桁数、確認場所、見つからない場合の問い合わせ先が説明されています。
- 東京電力エナジーパートナー「燃料費調整制度とは」: 燃料費調整額の計算の考え方と、同社の規制料金・自由料金における上限の扱いが説明されています。
- 日本LPガス団体協議会「LPガスガイド2025年改訂版」: LPガスの自由料金と、基本・従量・設備利用等料金に分ける三部料金制が説明されています。
- 国民生活センター「電力・ガスの契約トラブル」: 検針票の情報を慎重に扱うことや、契約先と料金条件の確認方法が案内されています。
- 消費者庁「訪問販売」: 訪問販売のルールと、クーリング・オフの原則的な期間・方法が説明されています。
まとめ
電気・ガス代の見直しで大切なのは、安く見える広告を探すことではありません。自宅の実績を同じ条件で候補へ当てはめ、変動する費目と契約条件まで確認することです。12か月比較と通常年の試算は判断を助けますが、将来の料金を保証するものではありません。
次にやることは、この3つです。
- 最新の検針票か会員ページを開き、会社名、プラン名、使用量を書き写す。
- 直近12か月の使用量と請求額を、月ごとの表へ入れる。
- 申込直前に、候補会社の公式料金表、約款、重要事項説明書を開き直す。