節約術

複利はなぜ時間で増え方が変わる?

複利と単利の違いを計算式と試算で解説し、積立、手数料、税金、インフレまで含めて将来の金額を読むときの注意点を順に整理します。

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若い芽の鉢と、だんだん高くなる小銭の山

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複利と単利の違いを計算式と試算で解説し、積立、手数料、税金、インフレまで含めて将来の金額を読むときの注意点を順に整理します。

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複利は、運用で得た利益を元本に加え、次の期間はその合計に対して利益を計算する考え方です。利益にも利益がつくため、同じ年率を置いても、時間が長くなるほど増え方が直線から離れていきます。

ただし、複利の計算結果は将来の受取額を約束する数字ではありません。実際の預金や投資には、利率・価格の変動、手数料、税金、入出金の時期などが影響します。この記事では「年率が毎年一定」という単純な仮定から始め、現実に近づけるために何を差し引き、何を確認すべきかを順番に整理します。

見る数字意味試算で決めること
元本最初に用意する金額追加の積立とは分ける
年率1年当たりの増減率予想ではなく仮定として置く
期間運用を続ける長さ年数と入出金時期をそろえる
複利の頻度利益を元本へ組み入れる回数年次、月次などの条件を明記する
コスト手数料や税金いつ、何に対して引かれるかを確認する

1. 複利の式は「元本×成長率の繰り返し」

最初の元本を (P)、1期間の利率を (r)、期間数を (n) とすると、追加の積立がない複利の将来額 (A) は次の式で表せます。

A = P × (1 + r)^n

元本100万円、年率5%、20年間、利益を年1回組み入れると仮定すると、計算は次のようになります。

1,000,000 × (1 + 0.05)^20 = 2,653,297.70...

1円未満を切り捨てれば約265万3,297円です。1年目の利益は5万円ですが、2年目は105万円に5%を掛けるため5万2,500円になります。20年目だけ急に増えるのではなく、前年までの利益を次の計算へ含める工程が積み重なります。

年に複数回複利計算する場合は、年率をそのまま各回へ掛けません。名目年率を (i)、1年の複利回数を (m)、年数を (t) とする単純化した式は次の形です。

A = P × (1 + i ÷ m)^(m × t)

ただし、金融商品の表示利率から1回当たりの利率を求める方法、利息がつく日、端数処理は商品ごとに異なります。「年率5%なら月率は必ず5%÷12」と決めつけず、実商品の契約書面や目論見書で計算条件を確認する必要があります。

2. 単利との違いは「利益を次の元本に入れるか」

単利は、各期間の利益を最初の元本だけに対して計算します。元本を (P)、利率を (r)、期間数を (n) とすると、将来額は次のように表せます。

A = P × (1 + r × n)

先ほどと同じ100万円、年率5%、20年という仮定なら、単利は200万円、複利は約265万円です。

経過年数単利複利
0年100万円100万円
5年125万円約127万6,282円
10年150万円約162万8,894円
20年200万円約265万3,297円

この差は、20年間ずっと年率5%で増え、利益を引き出さず、手数料や税金を考えない場合の計算結果です。市場で取引される金融商品は毎年同じ割合で増えるとは限らず、途中に値下がりもあります。

平均年率の扱いにも注意が必要です。1年目に50%上昇し、2年目に50%下落すると、年率の単純平均は0%ですが、100万円は150万円を経て75万円になります。複数年の実績を一つの率で表すときは、各年の率を足して年数で割る算術平均ではなく、開始額と終了額から複利ベースで逆算する年平均成長率が使われます。それでも、その数字は過去の期間を要約したものであり、将来の年率を保証しません。

3. 元本・利率・期間のうち時間は後から取り戻しにくい

複利の式には元本、利率、期間の3要素があります。元本を2倍にすれば同じ条件の将来額も2倍です。一方、期間は指数部分に入るため、増え方への影響が後半ほど大きく見えます。

年率を比較するときは、わずかな差が長期で広がる点と、高い想定年率ほど不確実性も大きくなりやすい点を同時に見ます。ここでは、上の入力欄で元本と三つの仮定年率を入れ替え、20年間の結果を比べられます。100万円を20年運用する単純試算は、年率1%なら約122万円、3%なら約181万円、5%なら約265万円です。この表だけを見て5%を選べばよいわけではありません。利率の根拠、価格変動、元本割れの可能性、換金条件を確認しなければ、比較として不十分です。

また、「早く始めるほど有利」という説明も条件付きです。生活費の予備資金を失う、金利の高い借入を残したまま無理に投資する、近く使う予定の資金を値動きの大きい商品へ回す、といった判断まで複利の式だけで正当化することはできません。期間を長く取れるかは、家計と目的から決まります。

複利が強く見えるのは、増えた利益を途中で使わず再投資できるからです。定期的な分配金がある商品でも、受け取って使えばその部分は次の元本に入りません。再投資する場合も、購入手数料、税金、再投資の時期によって理論値との差が生じます。

4. 積立を加えると「いつ入金したか」が結果を変える

毎月の積立がある場合は、最初の元本だけでなく、各月の入金をそれぞれ残り期間だけ複利計算します。月末に一定額 (C) を積み立て、月利を (j)、月数を (N) とする単純化した将来額は次のように分けられます。

最初の元本の将来額 = P × (1 + j)^N
積立部分の将来額 = C × {((1 + j)^N - 1) ÷ j}

元本100万円、毎月1万円、年率5%を12で割った月率、20年間、月末積立という仮定では、将来額は約682万2,976円です。自分で入れたお金は100万円と240万円の合計340万円で、残りの約342万円がこの仮定上の運用差額です。

積立を月初に行うなら、各回のお金が月末積立より1か月長く運用されるため結果は少し増えます。営業日、休場日、約定日、引き落とし日も実商品では一致しないことがあります。比較するときは「毎月いくら」だけでなく、入金時期と複利計算の頻度をそろえます。

元本、仮定の年率、年数、毎月積立、年手数料を変えたときの差は、上の式を表計算ソフトへ入力すれば自分で検算できます。手数料のように毎年引かれる費用は、年率から差し引いた形で入れてください。

5. 手数料と税金は増えた残高から差し引かれる

手数料の差は毎年小さく見えても、その年の支出だけでは終わりません。差し引かれた金額は、その後の複利計算へ参加しないためです。

たとえば100万円を30年間、手数料控除前の年率5%、年手数料1%と仮定し、便宜上「差し引き後の年率4%」として年1回計算すると、手数料を考えない結果は約432万円、差し引き後は約324万円で、差は約108万円です。これは説明用の概算であり、実際の手数料は残高に対する日割り、購入時、売却時など徴収方法が異なります。単に表示年率から手数料率を引けば常に正確になるわけではありません。

税金も口座と所得の種類で異なります。国税庁によると、上場株式等の譲渡益の税率は所得税15%、住民税5%で、2037年までは復興特別所得税が所得税に加わります。一般的に示される合計は20.315%ですが、実際の課税関係は取引、口座、申告方法などで変わります。

金融庁は、NISA口座で投資した金融商品から得られる売却益や配当・分配金を非課税と案内しています。ただし、NISAであれば損失がなくなるわけではなく、対象商品や投資枠などの制度条件もあります。課税口座とNISAを比べる際は「税率ゼロ」だけを切り出さず、対象、上限、損失の扱い、手数料を公式資料で確認してください。

税引きの時期も試算へ影響します。利益を最後にまとめて課税する計算と、分配や売却のたびに課税して残額を再投資する計算では、同じ税率でも結果が異なります。税制は改正される可能性があるため、公開前と実際の判断時に再確認が必要です。

6. インフレ後の価値は名目額より小さくなる

20年後に265万円あることと、現在の265万円と同じ量の商品やサービスを買えることは別です。物価が上がれば、同じ金額で買える量は減ります。

総務省統計局の消費者物価指数は、家計が購入する財・サービスの価格変動を時系列で測る指標です。ただし、指数は平均的な消費構造をもとに作られるため、住居、教育、医療など各家庭の支出構成によって体感する物価変動は異なります。

名目年率を (r)、物価上昇率を (p) とすると、実質年率は概算の引き算ではなく、次の式で表せます。

実質年率 = (1 + r) ÷ (1 + p) - 1

名目年率5%、物価上昇率2%なら実質年率は約2.94%です。100万円が20年後に名目約265万円になっても、物価が毎年2%ずつ上がる仮定で現在の購買力へ割り戻すと約179万円です。

物価上昇率も運用利率も毎年一定ではありません。税や手数料を差し引いた後の率と物価上昇率を比べること、将来額を「円の数字」と「買える量」の両方で見ることが重要です。

7. 試算は一つの答えではなく幅で読む

複利シミュレーションを使うときは、まず条件を一覧にします。

  1. 元本と積立額を分ける
  2. 年率は予測ではなく仮定だと明記する
  3. 年次か月次か、複利の頻度をそろえる
  4. 積立が月初か月末かを決める
  5. 手数料、税金、物価上昇を別々に置く
  6. 途中の値下がり、入出金、積立停止も想定する
  7. 計算結果を将来保証として表示しない

年率を一つに固定せず、低め、中央、高めの複数条件で比較すると、仮定への依存度が見えます。米国証券取引委員会が運営するInvestor.govの複利計算機も、初期投資、毎月の追加額、期間、推定年率、年率の変動幅、複利頻度を入力項目にしています。重要なのは大きな将来額を作ることではなく、どの入力を変えると結果がどれだけ動くかを確認することです。

試算の段階入れる条件その数字から分かることまだ分からないこと
基本試算元本、積立、仮定年率、期間複利だけを反映した将来額値動き、コスト、税、物価
コスト反映後基本試算+手数料費用が残高へ与える影響税引き後の受取額
税引き後コスト反映後+口座・課税条件課税条件を置いた概算額税制改正や個別の申告関係
実質価値税引き後+物価上昇率現在の購買力へ割り戻した概算各家庭で異なる支出構成

最後に、複利は利益だけでなく借入にも働きます。返済されなかった利息が残高へ加わる契約では、時間がたつほど負担が増える場合があります。資産運用の試算と借入の返済額を同じ感覚で扱わず、金利の種類、返済日、遅延時の条件を個別の契約で確認してください。

8. よくある質問

複利で元本が2倍になるまで何年かかりますか?

年率が毎年一定で、利益をすべて再投資する単純計算では、年率5%なら約14.2年です。計算式は 年数 = log(2) ÷ log(1 + 年率) です。手数料、税金、利率の変動があれば実際の期間は変わります。

複利計算は電卓でどう入力しますか?

元本に「1+小数で表した年率」の年数乗を掛けます。100万円、年率3%、10年なら 1,000,000 × 1.03^10 です。積立がある場合は入金ごとに運用期間が異なるため、積立対応の計算機や表計算ソフトを使うと条件をそろえやすくなります。

年利と複利の頻度は同じ意味ですか?

同じではありません。年利は1年当たりの利率、複利の頻度は利息を元本へ組み入れる回数です。年次、月次、日次などで結果が変わる場合があるため、商品の表示利率と計算方法をセットで確認します。

途中で値下がりしても複利になりますか?

残高に対して次の期間の増減率が掛かる点では同じですが、損失も次の計算の元になります。50%下落した後に元の金額へ戻るには100%の上昇が必要であり、一定のプラス年率を置いた試算のようには進みません。

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この記事は計算方法を説明するもので、特定の商品や運用方法を勧めるものではありません。実際の金融判断では、最新の契約書面、目論見書、税制を確認し、必要に応じて資格を持つ専門家へ相談してください。

一次情報メモ(2026-07-23確認)