節約術

夏の節電と熱中症対策を両立|冷房を我慢しない順番

夏の電気代を抑えながら熱中症を防ぐために、安全を守る基準、冷房の負担を減らす工夫、家族で確認する手順を公式情報から解説します。

  • #夏の節電
  • #熱中症対策
  • #エアコン
  • #暑さ指数
  • #電気代
温湿度計と水の入ったコップ、エアコンのリモコン

この記事で分かること

夏の電気代を抑えながら熱中症を防ぐために、安全を守る基準、冷房の負担を減らす工夫、家族で確認する手順を公式情報から解説します。

夏の節電で最初に決めたいのは、「冷房を何度にするか」ではありません。体調と室内環境が危険なときは、節約より冷房を優先するという線引きです。電気代を減らそうとしてエアコンを止め、暑さを我慢する方法は勧めません。

厚生労働省は、熱中症が屋外だけでなく、室内で何もしていないときにも起こり、場合によっては死亡することもあると案内しています。屋内での予防策は、エアコンなどによる温度調節、遮光カーテンやすだれの利用、室温のこまめな確認です(出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html)。

この記事では、エアコンの細かな機能や買い替え比較ではなく、安全を崩さず、部屋へ入る熱と冷房の無駄を順番に減らす方法を扱います。フィルター掃除や室外機の確認を詳しく知りたい場合はエアコンの電気代を下げる方法、扇風機の置き方はエアコンと扇風機の併用をご覧ください。

結論|「冷房を切る」以外から節電する

夏の節電と熱中症対策は、次の順番なら両立しやすくなります。

  1. 体調、室温、湿度、暑さ指数を見て、冷房が必要な状態を見逃さない
  2. カーテンやすだれで日差しを遮り、部屋へ入る熱を減らす
  3. エアコンは無理のない室温を保ち、扇風機などで温度むらを減らす
  4. フィルターと室外機の周囲を確認し、余計な負担を減らす
  5. 使用時間を削るのではなく、電力会社の明細で一日・一週間の変化を見る

この順番の要点は、安全に必要な冷房まで削らないことです。節電は「暑さに耐えた時間」ではなく、同じ安全性を保つために必要な電力を減らす工夫として考えます。

気温だけで決めず、暑さ指数も見る

同じ気温でも、湿度が高い日や日差しが強い場所では、体から熱を逃がしにくくなります。そこで参考になるのが、環境省の「暑さ指数(WBGT)」です。暑さ指数は、気温だけでなく、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境を取り入れた指標です(出典:https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php)。

環境省の案内では、日常生活に関する指針として、暑さ指数が28以上31未満は「厳重警戒」、31以上は「危険」とされています。31以上では、高齢者は安静にしていても発生する危険性が大きく、外出をなるべく避けて涼しい室内へ移るよう示されています。これはエアコンの設定温度を決める数字ではありません。地域の予測と、実際に人がいる部屋の温湿度、体調を一緒に見るための警告灯です。

朝に天気予報だけを見るのではなく、環境省の熱中症予防情報サイトで地域の暑さ指数と熱中症警戒アラートを確認します。警戒アラートが出ている日は、環境省も屋内でエアコンなどを適切に使用し、涼しい環境で過ごすよう呼びかけています(出典:https://www.wbgt.env.go.jp/)。

三つの数字を混同しない

「気温28℃」「暑さ指数28」「エアコンの設定28℃」は、同じ意味ではありません。暑さ指数は単位を付けない指標で、環境省は日常生活では28以上31未満を「厳重警戒」、31以上を「危険」としています。一方、冷房時の28℃はエアコンの設定値ではなく、実際の室温の目安です。環境省も、快適性を損なわない範囲で夏季の室温28℃を推奨し、「設定温度ではありません」と明記しています(出典:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/06/)。

画面や計器に出る数字何を表すか家庭での使い方
天気予報の気温観測・予測地点の空気の温度外出や窓の日よけを準備する材料にする
環境省サイトの暑さ指数気温、湿度、日射・輻射、風を基にした熱ストレスの指標28以上なら行動を慎重にし、31以上なら外出を避けて涼しい室内へ移る
部屋の温湿度計その計器を置いた場所の温度と湿度人が長くいる高さ・場所で測り、冷房を調整する
リモコンの設定温度エアコンが制御の目標にする値室温そのものと思わず、温湿度計と体調を見て上げ下げする

一般的な温湿度計だけでは、日射や床・壁からの輻射熱まで含む暑さ指数を直接測ったことにはなりません。また、環境省サイトの実況値・予測値は比較的条件のよい観測環境を基にしており、建物、日射、地面、風の違いで生活場所はさらに厳しくなる場合があります。サイトの数字が低めでも、実際の部屋が暑い、汗が止まらない、体調が悪いなら、現場の状態を優先してください(出典:https://www.wbgt.env.go.jp/sp/lifewbgt.php)。

警戒アラートは「室内なら関係ない」という通知ではない

2026年の環境省の運用では、熱中症警戒アラートは、予報区内のいずれかの情報提供地点で日最高暑さ指数33以上が予測される場合に、原則として前日17時ごろと当日5時ごろに発表されます。さらに、都道府県内の原則すべての情報提供地点で日最高暑さ指数35以上が予測される場合は、熱中症特別警戒アラートが前日14時ごろに発表されます。発表基準も対象範囲も違うため、「警戒」と「特別警戒」を同じ通知として扱わないでください(出典:https://www.wbgt.env.go.jp/faq.php)。

通知を見たら、数字を記録して終わりではありません。起床後に居間と寝室の温湿度を確認し、日差しが入る前に遮光し、飲み物を用意し、離れて暮らす高齢の家族にも連絡する、という行動へつなげます。特別警戒アラートまで待たず、体調や室温が危険なら冷房を使います。

高齢者、子ども、体調が悪い人は早めに守る

暑さの感じ方や体温調節のしやすさは全員同じではありません。高齢者や子ども、持病がある人、体調が悪い人がいる家庭では、本人の「まだ平気」だけで判断せず、室温と湿度を見て周囲が声をかけます。寝室、台所、脱衣所など、冷房のある居間とは環境が違う場所にも注意してください。

夜も、日が沈んだから安全とは限りません。寝る前に寝室の温湿度を確認し、冷房や除湿を使って休める環境を整えます。切タイマーが切れた後に暑くなって目が覚めるなら、タイマーを使うこと自体が目的になっています。機種に連続運転、入タイマー、睡眠向け運転などがあれば、取扱説明書を見て、朝まで安全に休める方法を選んでください。

節電の主戦場は、エアコンを止める前にある

冷房は、室内の熱を外へ運ぶために電力を使います。だから、先に部屋へ入る熱を減らし、冷気が部屋全体へ届きやすい状態を作ると、安全を保ったまま負担を減らせます。

日差しは、暑くなる前に遮る

日差しで床や家具が温まってから冷やすより、直射が入る前にカーテンやすだれを使います。資源エネルギー庁は、冷房時の工夫として、レースのカーテンやすだれで日差しを遮ること、外出時は昼間でもカーテンを閉めることを案内しています(出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html)。

朝日が入る東側、午後に強い西日が入る西側など、暑くなる窓と時間を一つだけ特定すると始めやすくなります。賃貸で外側へ日よけを付ける場合は、管理規約、避難経路、強風時の飛散防止を確認してください。買い足す前に、手持ちのカーテンを暑くなる前に閉める運用から試せます。

扇風機は「冷房の代わり」ではなく温度むら対策にする

扇風機は風を作りますが、部屋そのものをエアコンのように冷やす機器ではありません。暑い室内で扇風機だけを回し続けることを、猛暑日の熱中症対策にはしないでください。

冷房中は、足元にたまりやすい冷気を部屋へ循環させる目的で使います。人へ強い風を当て続けるのではなく、首振りや風向きを調整し、部屋の暑い場所を減らします。エアコンの温度センサー付近だけが涼しく、人がいる場所は暑いこともあるため、温湿度計は実際に過ごす高さと場所へ置きます。

ドアの開けっ放しを減らし、必要な換気は続ける

冷房している部屋のドアや窓を開けたままにすると、外の熱と湿気が入り続けます。出入りの後は閉め、冷やす範囲を決めます。一方で、換気が必要な住まいや場面まで閉め切るという意味ではありません。24時間換気の給気口をふさいだり、調理中の換気扇を止めたりせず、住宅設備の使い方に従ってください。

エアコンは「設定温度」より実際の室温で調整する

リモコンの設定温度と、人がいる場所の室温は同じとは限りません。日当たり、部屋の広さ、断熱性能、在室人数、調理、エアコンの設置場所によって差が出ます。「節電のために必ずこの設定」と固定せず、室温、湿度、体調を見ながら調整してください。

資源エネルギー庁は、外気温31℃、2.2kWのエアコンを1日9時間使うなど一定の条件で、冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合、年間30.24kWhの省エネになると試算しています。ただし、これは決められた条件での目安です。同じページでも「無理のない範囲で室内温度を上げる」とされており、体調を崩すほど設定を上げる根拠にはなりません(出典:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html)。

冷えすぎを感じるなら、いきなり停止せず、設定を少し上げる、風向きを変える、風量自動を試す、薄手の衣服で調整するなど、取扱説明書の範囲で整えます。反対に、設定温度へ達している表示でも暑い、汗が引かない、体調が悪い場合は、設定を下げたり涼しい部屋へ移ったりして安全を優先します。

省エネ効果は同じ条件の試算で比べる

資源エネルギー庁が同じページで示す代表的な試算を並べると、節電策の優先順位を考えやすくなります。金額は記事執筆時の自宅の料金を示すものではなく、同庁の一定条件による年間の目安です。

行動試算の条件年間の省エネ量同庁掲載の節約額
冷房時の室温を無理のない範囲で上げる外気温31℃、2.2kW、27℃から1℃上げ、9時間/日30.24kWh約940円
冷房を必要なときだけ使う設定28℃で1日1時間短縮18.78kWh約580円
フィルターを月1~2回清掃する2.2kWで、目詰まり状態と清掃後を比較31.95kWh約990円

この表から「最も金額が大きい一策だけを行えばよい」とは言えません。住まい、機種、電気料金、使用時間で実額は変わり、そもそもフィルターが汚れていなければ掃除による差は小さくなります。安全を損なう運転短縮より、日射を遮る、空気の通り道を空ける、説明書どおりにフィルターを手入れする、といった室温を上げずにできる対策を先に実行するための比較として使ってください。

お金をかけずに確認する冷房の通り道

まず、エアコンの吸い込み口や吹き出し口を家具や洗濯物でふさいでいないかを見ます。次に、取扱説明書で方法を確認してフィルターを掃除します。資源エネルギー庁は、フィルターを月に1回か2回清掃する行動を紹介し、目詰まりした場合との比較も示しています。掃除頻度と方法は機種や環境で違うため、メーカーの説明を優先してください。

屋外では、室外機の吹き出し口の前に荷物、植木鉢、カバーなどがないかを確認します。資源エネルギー庁も、吹き出し口に物を置くと冷暖房の効果が下がると案内しています。室外機へ水をかける、内部を分解する、熱がこもる覆い方をするなど、説明書にない作業はしないでください。

今日15分でできる安全・節電チェックリスト

次の順に一度だけ確認し、できた項目へ印を付けてください。家族と共有するなら、エアコンのリモコン付近へ紙で置いておくと続けやすくなります。

  • 環境省サイトで、今日の暑さ指数と熱中症警戒アラートを見た
  • いつも人がいる場所の室温と湿度を確認した
  • 高齢者、子ども、体調が悪い人のいる部屋が涼しいか確認した
  • 日差しが強く入る窓を一つ決め、暑くなる前にカーテンを閉めた
  • エアコンの吸い込み口と吹き出し口を物でふさいでいない
  • フィルターの掃除時期と方法を取扱説明書で確認した
  • 室外機の吹き出し口の前に物がない
  • 就寝後に冷房が切れて暑くならない運転方法を決めた
  • 飲み物を取りやすい場所へ用意した
  • 電力会社の請求画面で、前日や前週との使用量を比べられるか確認した

全部を同じ日に終える必要はありません。最初は「暑さ指数を見る」「カーテンを閉める」「室外機の前を空ける」の三つで十分です。設定温度を無理に上げるのは、このチェックリストの必須項目ではありません。

水分補給も「電気代とは別の安全策」として続ける

冷房を使っていても、水分補給は必要です。厚生労働省は、室内でも屋外でも、のどの渇きを感じなくてもこまめに水分を補給するよう案内しています(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502.html)。

ただし、持病や治療のために水分・塩分の量を指示されている人は、一般的な記事の目安より医師などの指示を優先してください。家族で一律の量を決めるのではなく、飲み物を手の届く場所へ置く、食事や休憩の時刻と一緒に確認するなど、忘れにくい環境を作ります。

熱中症が疑われるときは節電を中止する

めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のこむら返り、頭痛、吐き気、強いだるさなど、いつもと違う症状があるときは、電気代の計算を続ける場面ではありません。涼しい場所へ移り、衣服をゆるめ、首回り、脇の下、足の付け根などを冷やします。

厚生労働省は、熱中症が疑われる人が自力で水を飲めない場合や意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502.html)。意識がはっきりしない人へ無理に飲ませず、ためらわず119番へ連絡してください。

電気代は一日ではなく、一週間で比べる

暑さは毎日同じではないため、昨日より使用量が増えただけで失敗と決めないことが大切です。電力会社の会員ページや検針票で確認できる範囲で、一週間ほど次の三点を記録します。

  1. その日の暑さ指数や天候
  2. 冷房を使った時間と、困った暑さ・冷えがなかったか
  3. 一日または時間帯別の電気使用量

比較するときは、危険な暑さの日に使用量が増えたことを「無駄」と扱いません。安全を保てたことを前提に、カーテンを閉めた日、フィルターを掃除した後、扇風機で温度むらを減らした日など、条件が近い日どうしを比べます。節電額を正確に出せない場合でも、続けられる行動か、家族が快適に過ごせたかは判断できます。

よくある質問

エアコンは28℃に設定すれば安全ですか?

一つの設定温度だけで安全とは判断できません。リモコンの設定と実際の室温には差があり、湿度、日差し、体調、年齢などでも負担が変わります。人がいる場所の温湿度と体調を確認し、暑さ指数や警戒アラートも参考にしてください。暑い、汗が引かない、体調が悪いときは、数字にこだわらず涼しい環境へ移ります。

エアコンと扇風機は、どちらを優先しますか?

室内が高温になっているときは、部屋の熱を外へ運べるエアコンを優先します。扇風機は、冷房の空気を循環させて温度むらを減らす補助として使います。猛暑日に扇風機だけで我慢する方法は勧めません。

外出するときはエアコンを必ず切るべきですか?

外出時間、外気温、住宅の断熱性、帰宅後の使い方で結果が変わるため、一律には言えません。人がいない長時間の冷房を減らせる場合はありますが、在宅する家族やペットがいるなら、その安全と必要な室温を先に考えます。短時間外出のオン・オフは、電力会社の使用量表示があれば自宅の条件で比べてください。

電気代が心配で冷房を使えないときはどうしますか?

まず自治体の相談窓口や、利用中の電力会社の支払い相談を確認してください。日中は、自治体が指定するクーリングシェルターなど、利用できる涼しい場所がないかも自治体の公式情報で探します。制度や開設場所は地域と時期で異なるため、名称だけで判断せず、当日の開設状況、利用時間、対象者を自治体へ確認してください。

クーリングシェルターの正式名称は「指定暑熱避難施設」で、気候変動適応法に基づき市区町村長が指定します。ただし、似た名称の「涼みどころ」などがすべて法定の指定施設とは限りません。環境省の全国リンク集から自治体の公式ページへ進み、住所だけでなく、開放日、開放時間、休館日、受入可能人数、飲み物の有無を出発前に確認してください(出典:https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_shelter.php)。

家で危険な暑さを感じてから検索を始めると、移動そのものが負担になります。元気な日のうちに、徒歩圏の候補を一つ、徒歩が難しいときの候補を一つ控え、移動手段も決めておきます。具合が悪い人をクーリングシェルターへ連れて行けば済む、という制度ではありません。自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶという厚生労働省の案内を優先してください(出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html)。

今日やるなら、ここまでで終わりです

  • 環境省サイトで今日の暑さ指数を確認する
  • 冷房を止めず、日差しが強い窓のカーテンを閉める
  • 人がいる場所の温湿度と、家族の体調を確認する
  • エアコンと室外機の空気の通り道をふさがない

夏の節電は、冷房を我慢する競争ではありません。危険を知らせる数字と体調を先に見て、必要な冷房は使う。そのうえで日差し、温度むら、フィルター、室外機の周囲を整え、同じ安全性をより少ない負担で保つ。この順番なら、健康と家計のどちらか一方を諦めずに続けられます。

参考にした公式情報

2026-07-23 時点の公式情報調べ。最新は公式サイトでご確認ください。