電気代が気になっても、暑い部屋でエアコンを我慢しないでください。節約より先に、命と健康を守ることが大切です。
厚生労働省は、熱中症は屋外だけでなく、室内で何もしていないときにも起こり、場合によっては死亡することもあると案内しています。予防策として、屋内ではエアコンなどで温度を調節し、遮光カーテンやすだれを使うことも挙げています。詳しくは厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」と「熱中症を防ぎましょう」をご確認ください。
この記事の方向は、エアコンを止めて耐えることではありません。冷房を使いながら、部屋へ入る熱とエアコンの負担を減らします。体調が悪いとき、高齢者や子どもがいるとき、室温が高いときは、節約より涼しい環境を優先してください。
先にやることは、この3つです
1. カーテンなどで日差しを遮る
役割は、部屋へ入る熱を減らすことです。 日差しで室内が暖まると、エアコンはその熱を外へ運ぶために働き続けます。資源エネルギー庁の省エネポータルは、冷房時の工夫としてレースのカーテンやすだれで日差しを遮ること、外出時は昼間でもカーテンを閉めることを案内しています。
まずは、強い日差しが入る窓から対策しましょう。朝に暑くなる部屋なら東側、午後に暑くなる部屋なら西側の窓が見直し候補です。全部の窓を一度に買い替える必要はありません。手持ちのカーテンを閉めるだけでも始められます。
遮光カーテンを選ぶときは、商品名の印象だけで決めず、窓を覆える幅と丈か、開け閉めしやすいか、家庭で手入れできるかを確認します。すだれや外付けの日よけは、落下や強風の危険がない取り付け方を選んでください。賃貸では、穴開けが必要な器具を買う前に管理規約を確認しましょう。
2. フィルターを掃除する
役割は、エアコンが空気を吸い込みやすい状態へ戻すことです。 フィルターにほこりがたまると空気の通り道が狭くなり、冷房の働きを妨げます。資源エネルギー庁も、フィルターが目詰まりした状態と清掃した状態を比較し、定期的な清掃を省エネ行動として紹介しています。
掃除の前には運転を止め、取扱説明書でフィルターの外し方と水洗いの可否を確認してください。掃除機でほこりを吸う、やわらかいブラシを使う、水洗いできる部品は十分に乾かしてから戻す、といった方法があります。機種によって手順が違うため、無理に引っ張ったり、ぬれたまま戻したりしないことが大切です。
掃除道具を選ぶなら、フィルターを傷つけにくい毛のやわらかさ、細かい部分へ届く形、ほこりが舞いにくい吸引方法を見ます。強い洗剤や硬いブラシを先に買うより、手持ちの掃除機とやわらかいブラシで対応できるかを確かめましょう。
なお、エアコン内部の分解洗浄は、家庭で行うフィルター掃除とは別です。資源エネルギー庁は、知識が十分でない人による内部洗浄が故障の原因になることもあると注意を促しています。内部のカビや強いにおいが気になる場合は、説明書とメーカー窓口を確認し、必要に応じて専門の事業者へ相談してください。
3. 室外機の吹出口を塞がない
役割は、室内から運んだ熱を外へ逃がしやすくすることです。 資源エネルギー庁は、室外機の吹出口に物を置くと冷暖房の効果が下がると案内しています。
植木鉢、収納箱、自転車、落ち葉などが吹出口の前に集まっていないかを見てください。節電用として売られている室外機カバーも、吹出口を覆う形では逆効果になるおそれがあります。日よけを使うなら、風の通り道を残せること、強風でも飛ばないこと、点検や修理を妨げないことを選ぶ基準にします。
賃貸住宅や集合住宅では、室外機の位置を自分で変えないでください。避難経路や共用部分に関わることがあります。物をどけるだけで解決しない配置なら、管理会社や設備の担当先へ相談しましょう。
「暑くなったらつける、冷えたら消す」を繰り返さない
在室中に、エアコンの電源で室温を細かく調整するのは避けましょう。
ダイキン工業は、エアコンが設定温度を目指して室温を大きく変えるときは電力を多く使い、設定温度に到達した後の維持運転では電力が少なくなると説明しています。そのため、短い間隔で電源のオン・オフを繰り返すと、節電のつもりでも電気の無駄になる場合があります。詳しくはダイキン工業「エアコンの電気代を節約する方法」をご確認ください。
ここで大切なのは、「いつでもつけたままが安い」と決めつけないことです。長く部屋を空けるときまで運転を続けるべきかは、外気温、部屋の断熱、日当たり、機種、外出時間で変わります。在室中の細かな温度調整はエアコンの自動運転や温度調節に任せ、外出時はその日の暑さと戻る時間を踏まえて判断しましょう。
扇風機やサーキュレーターは「涼しさを補う道具」
資源エネルギー庁は、冷房時に扇風機を併用し、風が体に当たると涼しく感じると案内しています。サーキュレーターも空気を動かす道具ですが、風を強く当て続けて体を冷やしすぎる使い方は避けましょう。エアコンの設定を無理に上げるためではなく、同じ部屋の暑さの偏りを減らし、心地よく過ごす補助として使います。
選ぶ基準は、部屋の広さに合う風量、風向きを調整しやすいこと、就寝中に気になりにくい運転音、前面カバーや羽根を手入れしやすいことです。置き場所が狭い家庭では、台座の大きさやコードの取り回しも確認します。機能が多いものより、毎日安全に使えて掃除を続けやすいものが向いています。
設定温度だけで節約を決めない
冷やしすぎを避けることは省エネにつながりますが、特定の設定温度をすべての家庭へ当てはめることはできません。同じ設定でも、日当たり、湿度、部屋の広さ、人数、建物の断熱、エアコンの能力によって体感は変わります。
設定を変えるときは、体調と実際の室温を見ながら、無理のない範囲で行ってください。暑いのに数字だけを守る、眠れないのに我慢する、子どもや高齢者へ同じ感覚を求める、といった節約は勧められません。のどが渇く前の水分補給や、体調の変化への注意も冷房と一緒に続けましょう。
買い替えが向く場合と、急がなくてよい場合
古い機種や、部屋の広さに能力が合っていない機種は、買い替えによって使いやすさや省エネ性能が改善することがあります。ただし、新しい機種の本体代や工事費を電気代の差だけで回収できるかは、使用時間や今の機種の状態によって変わります。
まず、型番から取扱説明書とメーカーの仕様を確認し、異音、冷えにくさ、水漏れ、エラー表示があるなら点検や修理の相談を優先します。故障していない機種を「古いから」という理由だけで急いで買い替える必要はありません。比較するときは、本体価格だけでなく、部屋の広さへの適合、設置工事、手入れのしやすさ、保証、現在の機種の撤去費用まで含めて考えます。
今日のチェックリスト
- 暑さを我慢せず、エアコンを使えている
- 日差しの強い窓をカーテンなどで遮っている
- フィルターの汚れと、説明書のお手入れ方法を確認した
- 室外機の吹出口を物で塞いでいない
- 在室中、電源のオン・オフで細かく温度調整していない
- 扇風機などは、体を冷やしすぎない範囲で補助に使っている
全部を一日に終わらせなくても大丈夫です。まず日差しを遮り、フィルターと室外機の周りを見るところから始めれば、買い物をせずに確認できます。健康を削る節約はせず、冷房を使いながらエアコンが働きやすい環境を整えていきましょう。
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