節約術

家族の保険を見直す順番|固定費を軽くする7手順

家族持ちの初心者向けに、公的保障、勤務先の制度、貯蓄、民間保険の順に整理し、重複した保障を減らす方法を具体例と比較表で解説します。削りすぎを防ぐ線も示します。

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階段状に重ねた4つの保険証券と老眼鏡

この記事で分かること

家族持ちの初心者向けに、公的保障、勤務先の制度、貯蓄、民間保険の順に整理し、重複した保障を減らす方法を具体例と比較表で解説します。削りすぎを防ぐ線も示します。

結論から言うと、保険の見直しは「安い商品を探すこと」から始めません。家族に必要な保障を計算し、公的保障や勤務先の制度で足りない部分だけを民間保険で補います。

今の契約をすぐ解約する必要もありません。家族全員の契約を1枚に集める、公的保障を確認する、重複を外す、という順なら保障の穴を作りにくくなります。

この記事では、その作業を7手順に分けました。金額の例は考え方をつかむための架空例です。保険料の平均や適正額、同じ削減額を示すものではありません。年齢、健康状態、働き方、家族構成、貯蓄、住宅ローンによって結論は変わります。

保険を見直す前に知りたい「残す保障」と「減らす保障」

保険は、万一のときに家計だけでは受け止めにくい損失へ備える道具です。保険料は安心感だけで決めず、毎月出ていく固定費として中身を確かめます。

たとえるなら、保険は雨の日の傘です。同じ大きさの傘を何本増やしても、別の種類の災害には備えられません。大切なのは本数ではなく、「何が起きたとき、誰の生活を、いくら、いつまで守るか」です。

金融庁の公的保険ポータルでも、民間保険には公的保険を補う面があるため、公的保険の内容を理解したうえで必要に応じて加入することが大切だと案内しています。公的な給付額は一律ではありません。

まず、家計のリスクを次の3つに分けます。

  1. 家計だけでは受け止めにくい損失
    主な収入を担う人の死亡や長期休業などです。民間保険を残す候補になります。
  2. 貯蓄で受け止められる損失
    小さな通院費や短期入院の雑費などです。手元資金が十分なら、保険を薄くできる場合があります。
  3. 別の制度ですでに備えがある損失
    公的保障、勤務先の福利厚生、団体信用生命保険などです。民間保険との重複を確認します。

削減候補は、主に2を厚くしすぎた部分と3との重複です。1まで保険料だけを理由に削ると、家計に大きな穴が残ることがあります。

4人家族の架空例

夫婦と子ども2人、手取り月収が合計38万円の架空家庭を考えます。見直し前の民間保険料は夫婦合計で月3万2,000円です。年額では38万4,000円になります。

契約を並べると、医療保障と特約が重なっていました。死亡保障も、子どもの独立後まで同じ金額で続く設計でした。必要保障を計算し、重複と期間だけを整理した結果、月2万円になったと仮定します。

確認項目見直し前の架空例見直し後の架空例判断した理由
夫婦の医療保険月1万2,000円月7,000円同じ目的の特約と日額保障を整理
死亡保険月1万円月8,000円子どもの独立までを中心に期間を調整
貯蓄型保険月8,000円月3,000円目的が重なる部分を縮小したと仮定
その他の特約月2,000円月2,000円家計で受け止めにくい賠償保障を維持
合計月3万2,000円月2万円月1万2,000円の差

差額は月1万2,000円、年14万4,000円です。ただし、この表は計算手順を示すだけです。一般的な保険料の相場でも、削減できる金額の目安でもありません。大事なのは、各保障を「残した理由」と「減らした理由」を家族が説明できることです。

手順1・2:契約を集め、必要保障額を計算する

手順1:家族全員の契約を1枚に集める

保険証券、契約者向けアプリ、銀行口座、クレジットカード明細を見ます。紙の証券が見つからなくても、支払先と保険料から書き始めれば大丈夫です。

次の項目を、家族全員について同じ表へ並べます。

  1. 誰の保険か
  2. 保険の種類と目的
  3. 月額または年額の保険料
  4. 何が起きたら支払われるか
  5. 受け取れる金額
  6. 保険期間と更新の有無
  7. 免責(=保険金が支払われない条件)
  8. 主契約と特約
  9. 解約返戻金(=解約時に戻るお金)の有無と現在額
  10. 契約者、被保険者、受取人
  11. 責任開始日(=保障が始まる日)

年払いは12で割り、家計簿では月額へ直します。年12万円なら月1万円です。ただし、月額の安さだけで比べません。「何の損失を、いつまで、いくら補うか」も横に書きます。

金融庁の保険商品の説明書面に関する資料では、説明書面に含める項目例として、保険期間、支払事由、免責、特約、保険料、告知義務、責任開始期、解約返戻金などが挙げられています。手元の「契約概要」と「注意喚起情報」も一緒に確認しましょう。

手順2:必要保障額を「支出-入るお金-貯蓄」で計算する

死亡、長期休業、入院を一つにまとめず、別々に計算します。基本式は次のとおりです。

必要保障額=これから必要な支出-受け取れる公的保障や勤務先給付-すぐ使える貯蓄

支出は、次の3つの箱に分けると整理しやすくなります。

  1. 毎月の生活費
    住居費、食費、水道光熱費、通信費、学校関係費などです。収入が止まった後の生活規模も考えます。
  2. 期限のある大きな支出
    子どもの教育費や住宅費などです。「いつまで必要か」を書きます。
  3. 急な支出を受け止める現金
    入院時の食事代、交通費、差額ベッド代、収入減などです。普通預金など、すぐ動かせるお金だけを数えます。

死亡保障を考えるときは、遺族年金、団体信用生命保険、勤務先の弔慰金、遺族側の収入を差し引きます。長期休業なら、傷病手当金や休職中の給与を確かめます。入院なら、高額療養費の対象になる医療費と、対象外の費用を分けます。

保険会社のシミュレーションを使う場合も、入力した支出と収入を家族で確認します。結果の大きな数字だけを見て決めないことが大切です。

手順3:公的保障、勤務先制度、団信を先に確認する

民間保険を増減する前に、すでに使える保障を確認します。次の順に進めると抜けを見つけやすくなります。

  1. 健康保険証や資格情報から、自分の加入先を確認する。
  2. 加入先の公式案内で、高額療養費や休業時の給付を調べる。
  3. 年金の加入記録と遺族年金の対象条件を確認する。
  4. 勤務先へ、休職中の給与、弔慰金、団体保険、退職金制度を聞く。
  5. 住宅ローンがある家庭は、団体信用生命保険の契約者と保障条件を確認する。

医療費は高額療養費の対象と対象外を分ける

高額療養費は、1か月の保険診療の自己負担が年齢と所得に応じた上限を超えたとき、超えた分が支給される制度です。厚生労働省の高額療養費の案内では、現行制度の例として、70歳未満で年収約370万~770万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担を約8万7,000円としています。

ただし、この金額をすべての家庭へ当てはめることはできません。年齢、所得、受診月、加入先で変わります。制度の見直し予定も案内されているため、実際に使う時点の所得区分と上限額を公式ページや加入先で確認してください。

また、高額療養費ですべての入院費が収まるわけではありません。協会けんぽの高額療養費FAQでは、保険外診療、入院時の食事代、差額ベッド代などは対象外としています。交通費や休業による収入減も別に考えます。

長期休業は傷病手当金と勤務先の給与を確認する

協会けんぽの傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けないこと、連続3日の待期を含めて4日以上休むこと、十分な給与がないことなどが支給条件です。協会けんぽの2026年7月27日時点の案内では、支給期間は支給開始日から通算1年6か月です。支給額は、標準報酬月額を基にした日額相当額の3分の2を使う例が示されています。

これは協会けんぽの案内です。すべての働き方に同じ給付があるわけではありません。自分の保険者、雇用形態、給与の支給状況、勤務先の休職制度を確認します。

死亡保障は遺族年金の対象者と期間を確認する

日本年金機構の遺族基礎年金の案内では、対象者は原則として、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。子には、原則18歳になった年度の3月31日までなどの条件があります。

2026年度の案内では、1956年4月2日以後生まれの子のある配偶者の基本額は年84万7,300円です。そこへ子の加算が付きます。ただし、実際の受給可否や金額は、子の数、生年月日、保険料の納付状況、年金の加入記録などで変わります。年度ごとに改定されるため、必要保障額を計算する時点の公式案内で確認してください。

住宅ローンは団体信用生命保険との重複を確認する

団体信用生命保険は、所定の条件に当てはまったとき、保険金で住宅ローン残高を返済する仕組みです。住宅金融支援機構の機構団信の案内では、加入者に万一のことがあった場合、生命保険会社から支払われる保険金で住宅ローンを完済すると説明しています。

ただし、団信の対象者、保障範囲、免責は契約ごとに違います。住宅ローンがあるだけで全額がなくなるとは限りません。契約書で対象者と支払条件を確かめ、団信で返済される残高を死亡保障の必要額へ二重に足さないようにします。

手順4〜7:重複を外し、安全に乗り換える

手順4:重複・必要・未確認の3色に分ける

一覧表に、次の3色で印を付けます。色が使えない場合は「重」「必」「未」でもかまいません。

  • 赤・重複:同じ事故に対し、複数の契約から似た給付が出る。
  • 青・必要:家計だけでは受け止めにくく、誰を守る保障か説明できる。
  • 黄・未確認:支払条件、免責、更新後の保険料、解約返戻金が分からない。

赤は削減候補ですが、その場では解約しません。黄色は保険会社へ、次の4点を質問します。

  1. どのような場合に保険金や給付金が支払われるか。
  2. どのような場合に支払われないか。
  3. 更新後の保険料はいくらになるか。
  4. 今、減額や解約をした場合、保障と返戻金はどう変わるか。

手順5:小さな特約から検討し、解約以外も比べる

削減を検討しやすい順番は次のとおりです。これは整理の順番であり、個別の保険商品を勧めるものではありません。

  1. 目的を説明できない小さな特約
  2. 同じ目的で重なる保障
  3. 子どもの成長などで必要期間が短くなった保障
  4. 貯蓄で受け止められる小さな損失への保障
  5. 家族の生活を支える大きな死亡・就業不能保障

下へ行くほど慎重に判断します。特に5は、家族の生活費、公的保障、勤務先制度を計算してから考えます。

選択肢は「継続か解約か」だけではありません。生命保険文化センターの保険料負担を軽くする方法では、保険金額の減額、延長保険、払済保険が説明されています。

選択肢どんな方法か確認したい点
継続今の保険料と保障を続ける更新後の保険料、保障が必要な期間
減額・特約整理保障の一部を小さくする元に戻せるか、特約が消えないか
延長保険保険料の払込みを止め、保障期間などを変えて死亡保障を続ける方法商品ごとの条件、保障額、保障期間、特約の扱い
払済保険保険料の払込みを止め、保障額を小さくして契約を続ける方法商品ごとの条件、保障額、特約の扱い
解約契約を終了する返戻金、失う保障、税務、再加入の難しさ

延長保険や払済保険は、すべての商品で使えるわけではありません。変更により特約が消える場合もあります。将来受け取る金額や税務上の扱いも含め、保険会社から書面で説明を受けます。

生命保険文化センターの解約時の注意点では、解約返戻金は通常、払込保険料の合計より少なく、短期解約や保障性の高い商品ではごくわずか、またはゼロの場合があると案内しています。解約した契約は元に戻せず、年齢や健康状態によって再契約が難しくなる場合もあります。

手順6:新契約の成立と保障開始を確認してから旧契約を判断する

「申込み」「契約成立」「保障開始」は同じ意味ではありません。乗り換えるときは、次の順番で進めます。

  1. 現契約の保障内容、解約返戻金、解約日を確認する。
  2. 新契約の質問へ、健康状態や職業を事実どおり告知する。
  3. 新契約の成立日と責任開始日を書面で確認する。
  4. 保障の空白と二重払いの期間を確認する。
  5. その後に旧契約の減額や解約を判断する。

国民生活センターの告知義務に関するFAQでは、生命保険の新規契約や契約内容の変更時に、過去の傷病歴、現在の健康状態、職業などをありのまま告げる必要があると説明しています。質問された内容を自分の判断で省かないようにします。

新契約が希望どおり成立しない場合もあります。旧契約を先に解約すると、必要な保障がなくなり、元へ戻せないことがあります。

手順7:浮いたお金の行き先と次回見直し日を決める

保険料が減ったら、その日のうちに差額の行き先を決めます。架空例で月1万2,000円が浮いたなら、月7,000円を緊急予備費、月5,000円を教育費へ自動振替する方法があります。配分も架空例であり、家庭ごとに変わります。

保険を減らして現金を増やすなら、その現金が小さな損失を受け止める役割を持ちます。生活費へ混ざらないよう、目的別口座や自動振替を使うと管理しやすくなります。

家族表には次回の確認日も入れます。結婚、出産、住宅購入、転職、独立、子どもの進学や就職は、必要保障が変わりやすい節目です。

よくある質問

高額療養費制度があるなら、医療保険は全部いらない?

一律には決められません。高額療養費は、保険診療の自己負担に年齢・所得別の上限を設ける制度です。食事代、差額ベッド代、保険外診療、交通費、収入減などは別に考える必要があります。

すぐ使える貯蓄と、休業しても続く収入を確認します。そのうえで、家計だけでは受け止めにくい不足分を医療保険で補うか判断します。所得区分や上限額は制度変更があり得るため、利用時点の厚生労働省と加入先の案内を確認してください。

家計が苦しいとき、どの保険から解約すればいい?

最初に解約する保険を決めるのではなく、目的不明の特約と重複を探します。主契約が必要なら、減額、延長保険、払済保険を使える場合があります。

変更前に、返戻金、失う保障、特約への影響、税務、再加入の可能性を確認します。一時的な資金不足なら、長期の保障設計と分けて考えます。

新しい保険に申し込んだら、古い保険はすぐ解約していい?

申込みだけでは解約しません。告知内容や審査によっては、新契約が希望した条件で成立しない場合があります。

新契約の成立日と責任開始日を書面で確認します。その後、保障の空白、二重払い、旧契約の返戻金を並べてから判断します。

団体信用生命保険に入っていれば、死亡保険は不要?

団信は、所定の条件で住宅ローンを返済するための保障です。遺族の生活費や教育費を直接支払う制度ではありません。

まず、団信の対象者、保障条件、返済されるローン残高を契約書で確認します。次に、遺族年金、遺族側の収入、貯蓄を差し引きます。それでも残る生活費や教育費を、死亡保険で補うか考えます。

公式一次情報

確認日: 2026-07-27

まとめ

保険の見直しは、安い商品を探す作業ではありません。家族に必要なお金から、公的保障、勤務先制度、団信、貯蓄を差し引き、不足分だけを民間保険で補う作業です。

今日の最初の行動は解約ではありません。次の3つから始めましょう。

  • 家族全員の保険証券と引き落としを集め、1枚の表にする。
  • 公的保障、勤務先制度、団信の確認先を書き、受給条件を調べる。
  • 重複・必要・未確認の印を付け、未確認事項を保険会社へ質問する。