ふるさと納税

ふるさと納税と住宅ローン控除の併用手順

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用するときの計算順、確定申告とワンストップ特例の分岐、控除結果の確認方法を丁寧に整理します。

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申告書と木の家の模型、万年筆

この記事で分かること

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用するときの計算順、確定申告とワンストップ特例の分岐、控除結果の確認方法を丁寧に整理します。

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できます。ただし、「二つとも使える」ことと、「シミュレーターに表示された金額がそのまま控除される」ことは同じではありません。住宅ローン控除を初めて受ける年か、2年目以降か、確定申告をするか、所得税と住民税に控除できる余地がどれくらいあるかによって、手続きと計算結果が変わります。

特に注意したいのは、住宅ローン控除の初年度です。初年度は住宅ローン控除を受けるために確定申告が必要なので、ふるさと納税のワンストップ特例は使えません。すでにワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると申請は無効になります。その年に行ったすべてのふるさと納税を、住宅ローン控除と一緒に確定申告へ入れる必要があります。

この記事では、個別の上限額を断定するのではなく、手元の書類を使って確認する順番を説明します。ふるさと納税そのものが初めてなら、先にふるさと納税の始め方で基本の仕組みを確認してください。

1. 二つの控除は計算順が違う

ふるさと納税と住宅ローン控除は、税金から差し引かれる段階が異なります。

確定申告をする場合、ふるさと納税のうち所得税に関係する部分は「寄附金控除」という所得控除です。年間の所得から所得控除を差し引いて課税所得を求め、その課税所得に税率を掛けて所得税を計算します。一方、住宅ローン控除は、計算した所得税額から差し引く税額控除です。国税庁の確定申告の手引きでも、寄附金控除は「所得から差し引かれる金額」、住宅借入金等特別控除は「税金の計算をする」段階に分けて案内されています。

大まかな順番は次のとおりです。

  1. 収入から給与所得控除などを差し引き、所得を求める
  2. 所得から基礎控除、社会保険料控除、寄附金控除などを差し引く
  3. 課税所得に税率を掛け、所得税額を計算する
  4. 計算後の所得税額から住宅ローン控除を差し引く
  5. 所得税で使い切れなかった住宅ローン控除がある場合、要件と上限の範囲で翌年度の住民税から差し引く
  6. ふるさと納税についても、所得税と翌年度の住民税へ控除を反映する

この順番のため、確定申告では、ふるさと納税の寄附金控除によって住宅ローン控除を適用する前の所得税額が下がることがあります。住宅ローン控除の可能額が所得税額より大きい人は、所得税だけでは控除しきれない部分が増える可能性があります。控除しきれなかった住宅ローン控除は住民税へ移る仕組みがありますが、住民税側にも上限があるため、残額がすべて住民税から差し引かれるとは限りません。

ふるさと納税の控除も無制限ではありません。国税庁によると、確定申告では、寄附額から2,000円を差し引いた額について、所得税の所得控除、住民税の基本分、住民税の特例分に分けて計算します。住民税の特例分には、住民税所得割額の20%という限度があります。所得、家族構成、ほかの控除が変われば、同じ年収でも上限の目安は変わります。

したがって、「住宅ローン控除があると、ふるさと納税ができない」と一律に考える必要はありません。ただし、住宅ローン控除を所得税だけで使い切れていない人や、ほかにも医療費控除などを申告する人は、簡易な年収表だけで寄附額を決めないほうが安全です。

2. 入居年・所得税額・住民税額を確認する

併用を考えるときは、返礼品を選ぶ前に、次の三つを確認します。

確認するもの見る内容確認する理由
住宅へ入居した年月日住宅ローン控除の初年度か、2年目以降か初年度は確定申告が必要になるため
源泉徴収票住宅借入金等特別控除の額、控除可能額、源泉徴収税額所得税で控除を使い切れているかを考える材料になるため
住民税の決定通知書住宅借入金等特別税額控除、寄附金税額控除、税額控除額など翌年度に二つの控除がどう反映されたかを確認するため

住宅ローン控除の制度は、入居年、住宅の新築・既存の区分、省エネ性能、床面積、所得、借入期間などによって要件が異なります。国土交通省は、2026年度税制改正により住宅ローン減税の適用期限が延長されたことを案内していますが、過去に入居した人へ新しい条件をそのまま当てはめることはできません。自分の入居年と住宅区分に対応する制度を確認してください。

源泉徴収票では、「住宅借入金等特別控除の額」だけでなく、摘要欄の「住宅借入金等特別控除可能額」も確認します。控除可能額のほうが実際の控除額より大きい場合は、所得税から控除しきれなかった部分があると考えられます。ただし、その差額が住民税から同額控除されるとは限りません。

所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除は、一定の要件を満たす場合に翌年度の住民税所得割から控除されます。住民税側の限度は入居年月日や取得条件によって異なるため、この記事では一つの上限額へ固定しません。たとえば京都市の公式案内では、入居時期などに応じた計算式と上限が分けて掲載されています。自分の通知書の見方と適用条件は、1月1日時点の住所地である市区町村へ確認するのが適切です。

3. 確定申告が必要になる場面を先に分ける

住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときは、最初に「今年は確定申告をするか」を決めます。寄附先を選んだ後ではなく、寄附前に分けておくと、ワンストップ特例との重複手続きを減らせます。

住宅ローン控除の初年度

給与所得者でも、住宅ローン控除を初めて受ける年分は確定申告が必要です。住宅の契約書、登記事項証明書、住宅ローンの年末残高に関する情報、住宅の性能を示す書類など、住宅の区分に応じた書類を用意します。金融機関が税務署へ年末残高情報を提出する「調書方式」へ移行しているかどうかでも、準備する書類が変わる場合があります。

この年にふるさと納税をしているなら、寄附金受領証明書、または対象事業者が発行する寄附金控除に関する証明書も用意し、同じ確定申告に入れます。ワンストップ特例の申請書を寄附先へ提出済みでも、申告から省略してはいけません。

住宅ローン控除の2年目以降

給与所得者は、一定の場合、住宅ローン控除を年末調整で受けられます。そのうえで、確定申告をする別の理由がなく、ふるさと納税先が5団体以内などの要件を満たすなら、ふるさと納税にワンストップ特例を使う選択肢があります。

一方、2年目以降でも、個人事業の所得がある、医療費控除を受ける、副業所得などにより申告が必要、6団体以上へふるさと納税をした、といった場合は確定申告が必要です。この場合も、すべてのふるさと納税を申告へ含めます。

医療費控除も申告する予定なら、医療費控除のやり方で必要書類と入力手順を先に確認しておくと、ふるさと納税の申告漏れを防ぎやすくなります。

手続きの分岐を短くまとめると、次のようになります。

状況住宅ローン控除ふるさと納税
初年度確定申告全寄附を確定申告へ入れる
2年目以降で年末調整を利用し、ほかに申告理由なし年末調整要件を満たせばワンストップ特例を選べる
2年目以降でも確定申告をする確定申告または申告内容へ反映全寄附を確定申告へ入れる

主要な数字のまとめ

数字何を表すか注意点
2,000円ふるさと納税で控除対象外となる自己負担の基準額上限内で必要な手続きをした場合の制度上の基準。寄附ごとではなく年間の寄附総額に対して差し引く
5団体以内ワンストップ特例を利用できる寄附先自治体数の要件同じ自治体へ複数回寄附しても1団体と数える。ほかの要件も満たす必要がある
住民税所得割額の20%ふるさと納税における住民税の特例控除分の上限ふるさと納税全体の上限を単純に示す数字ではない
寄附翌年の6月ごろ会社員へ住民税決定通知書が届く一般的な時期自治体や勤務先の配付時期により前後する

4. 確定申告をするとワンストップ特例は無効になる

ワンストップ特例は、確定申告をしない給与所得者等が、寄附先5団体以内などの条件を満たしたときに利用できる仕組みです。住宅ローン控除との併用そのものが禁止されているわけではありません。住宅ローン控除の2年目以降を年末調整で受け、ほかに確定申告の理由がなければ、ワンストップ特例を利用できます。

申請条件や紙・オンラインでの手続きを確認したい場合は、ふるさと納税ワンストップ特例のやり方も参照してください。

ただし、理由を問わず確定申告をすると、その年のワンストップ特例申請は無効になります。国税庁は、申請済みの分も含め、その年のふるさと納税の全額について寄附金控除を計算し、確定申告へ含めるよう案内しています。

たとえば、4自治体へ寄附してワンストップ特例を申請した後、住宅ローン控除の初年度で確定申告をすることになった場合、4自治体分をすべて確定申告へ入れ直します。1自治体分だけを申告し、残り3自治体分をワンストップ特例に残す、という分け方はできません。

確定申告書では、所得税の「寄附金控除に関する事項」だけでなく、第二表の「住民税に関する事項」にある「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」への記載も必要です。国税庁は、この欄の記載がない場合、個人住民税の賦課決定で控除されないことがあると注意しています。確定申告書等作成コーナーを使う場合も、寄附先、寄附日、寄附額の入力結果を送信前に確認してください。

5. 上限シミュレーターへ入力するときの注意

ふるさと納税の上限シミュレーターは、入力した条件に基づく見込みを出す道具です。年収だけを選ぶ簡易版は、住宅ローン控除や医療費控除などを十分に反映しない場合があります。住宅ローン控除がある人は、少なくとも次の項目を入力できる詳細版を選びます。

  • 給与収入ではなく、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」
  • 所得控除の額の合計額
  • 住宅借入金等特別控除の額または控除可能額
  • 社会保険料、生命保険料、地震保険料などの控除
  • 配偶者、扶養親族の状況
  • 給与以外の所得
  • 医療費控除など、確定申告で追加する予定の控除

入力欄の名前はサービスごとに異なります。「住宅ローン残高」を入れる欄と「住宅ローン控除額」を入れる欄は意味が違うため、項目名を読み替えて入力しないでください。どちらを求めているか分からない場合は、そのシミュレーターの計算条件を確認します。

また、今年の給与や賞与がまだ確定していない時期は、上限も見込みです。前年の源泉徴収票をそのまま使うと、転職、育児休業、残業の増減、扶養の変更、住宅ローン控除の開始などを反映できません。寄附額を上限表示いっぱいに合わせるのではなく、条件の変動分を見込んで余裕を持たせます。

住宅ローン控除の可能額が大きく、所得税で使い切れていない人は、住民税側の住宅ローン控除とふるさと納税の控除が同じ年度の通知書に現れます。仙台市も、住宅ローン控除を住民税から控除する人は、ふるさと納税の上限への影響に注意し、自分の条件で計算するよう案内しています。簡易シミュレーターだけで判断しにくい場合は、源泉徴収票と前年の住民税決定通知書を用意し、市区町村または税務署へ確認します。

6. 源泉徴収票と住民税決定通知書で確認する

寄附と申告が終わったら、控除の反映まで確認します。確認時期と書類が違うため、所得税と住民税を分けて見ます。

源泉徴収票で住宅ローン控除を確認する

年末調整で住宅ローン控除を受けた場合は、源泉徴収票の次の欄を確認します。

  • 住宅借入金等特別控除の額
  • 住宅借入金等特別控除可能額
  • 居住開始年月日
  • 源泉徴収税額

控除可能額と実際の控除額に差がある場合は、所得税で使い切れなかった可能性があります。住民税へ反映できるか、いくら反映されるかは別の計算になるため、翌年度の住民税決定通知書まで保管します。

確定申告後は所得税の還付と住民税を分ける

確定申告でふるさと納税を申告した場合、寄附金控除の一部は所得税に反映され、残りが翌年度の住民税に反映されます。住宅ローン控除も同じ申告に含まれるため、銀行口座へ入った還付額だけを見ても、ふるさと納税分と住宅ローン控除分を単純には分けられません。

ワンストップ特例を使った場合、ふるさと納税による控除は所得税から還付されず、所得税相当分も含めて翌年度の住民税から控除されます。したがって、還付金がないことだけで、申請が失敗したとは判断できません。

住民税決定通知書で翌年度の反映を見る

会社員は通常、寄附した翌年の6月ごろに勤務先から住民税の特別徴収税額決定通知書を受け取ります。自分で納付する人には、市区町村から納税通知書が届きます。

通知書では、「寄附金税額控除額」「住宅借入金等特別税額控除額」「税額控除額」「摘要」などを探します。名称と表示位置は自治体によって異なり、二つの控除が合算表示される場合もあります。板橋区は、住宅借入金等特別税額控除などがある場合、通知書の「税額控除額」欄に合算されると案内しています。内訳が読めないときは、通知書、源泉徴収票、確定申告書の控え、寄附金受領証明書をそろえて市区町村へ問い合わせます。

通知書を使った照合手順は、ふるさと納税の控除を確認する方法で詳しく説明しています。

7. 税務署・自治体へ聞く項目を整理する

税金の相談先は、確認したい内容で分かれます。問い合わせ前に質問を一文にすると、必要な担当へつながりやすくなります。

税務署へ確認する主な内容は、所得税の確定申告と住宅ローン控除です。

  • 自分の住宅区分と入居年で、住宅ローン控除の対象になるか
  • 初年度の確定申告に必要な書類は何か
  • 調書方式の対象か、年末残高証明書が必要か
  • ワンストップ申請済みの寄附を確定申告へどう入力するか
  • 申告済みだが、ふるさと納税を記載し忘れた場合にどの手続きが必要か

住所地の市区町村へ確認する主な内容は、翌年度の住民税です。

  • 住民税決定通知書のどの欄に寄附金税額控除が載るか
  • 住宅ローン控除と寄附金税額控除が合算表示されているか
  • 所得税で使い切れなかった住宅ローン控除が住民税へいくら反映されたか
  • ふるさと納税の申告内容が住民税へ届いているか
  • 通知額に疑問がある場合、どの書類を持参すればよいか

相談するときは、入居年月日、住宅の区分、寄附した年、寄附先の自治体数、確定申告の有無を最初に伝えます。住宅ローン残高や年収だけを伝えて「上限はいくらですか」と聞くより、源泉徴収票と住民税決定通知書の具体的な欄を示したほうが確認しやすくなります。

よくある質問

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できますか?

併用できます。ただし、住宅ローン控除を所得税で使い切れず住民税からも控除している場合などは、ふるさと納税の控除上限に影響する可能性があります。年収だけの早見表ではなく、源泉徴収票と住民税決定通知書を使って確認してください。

住宅ローン控除の初年度にワンストップ特例を申請してしまいました。どうなりますか?

初年度の住宅ローン控除で確定申告をすると、申請済みのワンストップ特例は無効になります。申請済みの分を含め、その年のすべてのふるさと納税を確定申告へ入れます。

住宅ローン控除の2年目以降ならワンストップ特例を使えますか?

年末調整で住宅ローン控除を受け、ほかに確定申告をする理由がなく、寄附先が5団体以内などの要件を満たせば利用できます。医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例ではなく、すべての寄附を確定申告へ含めます。

寄附額から2,000円を引いた全額が必ず控除されますか?

必ずとは限りません。所得、家族構成、住宅ローン控除や医療費控除などの状況によって上限は変わります。特に所得税で住宅ローン控除を使い切れていない場合は、詳細シミュレーターの結果にも余裕を持たせてください。

確定申告後にふるさと納税の記載漏れへ気づいたら、どうすればよいですか?

申告内容と税額への影響によって手続きが異なります。国税庁は、寄附金控除を追加して税額が減る場合は更正の請求が必要と案内していますが、所得税額に変動がない場合は更正の請求ができないことがあります。確定申告書の控えと寄附の証明書を用意し、税務署と住所地の市区町村へ確認してください。

ふるさと納税と住宅ローン控除は、併用できるかどうかより、どの手続きで、どの税へ、どの順番で反映されるかを確認することが大切です。初年度は二つとも確定申告へ入れ、2年目以降は確定申告の有無でワンストップ特例を選びます。寄附前のシミュレーションだけで終わらせず、翌年度の住民税決定通知書まで確認して一連の手続きを終えましょう。

調査メモ(2026-07-23確認)